これまでの街歩き

かわいい陶器の街
シチリア島 カルタジローネ/ イタリア

2016年4月26日(火) 初回放送

語り:永作博美

撮影時期:2016年2月

世界地図

地図

場所

 カルタジローネは、シチリア島南東部、カターニア県にある人口4万人の街です。周辺には雨の少ない乾燥した大地が広がり、アーモンドやピスタチオが栽培されています。街は標高700メートル近い丘の上にあり、土壌が粘土質で湿気を含んでいるため、寒い朝晩には霧に包まれます。
 17世紀末に大地震に見舞われ、街は壊滅状態になりましたが、後期バロック様式を中心とした街並みを復興し、現在は「ノート渓谷の後期バロック様式の街々」として、周辺の街とともにユネスコの世界遺産に登録されています。
 街の経済をけん引する製陶業は、何千年という歴史と結びついています。現在も100を超える工房で職人や芸術家が陶器を作り続け、世界に誇る街の産業となっています。

Information

カルタジローネの歴史

 ガイドのピエロさんがカルタジローネの歴史をご紹介。
 カルタジローネでは陶器に適した土が採れるため、丘の上には太古から焼き物作りが盛んな集落がありました。9世紀にアラブ人がここに砦(とりで)を築き、アラビア語で「花瓶の丘」を意味する「カルタジローネ」の街が作られました。アラブから新しい焼き物の技術が伝わり、それを元にマジョルカ焼が生まれます。
 焼き物は産業になり、街は発展しますが、17世紀の大地震で、壊滅的な被害を受けます。しかし、修復に地元特産の陶器を使い、迅速な復興を遂げました。第二次大戦でも被害を受けましたが、復興期に大階段の142段すべてをタイルで飾り、人気の観光地となります。カルタジローネは度重なる困難の時期を焼き物の力で乗り越えてきたのです。

食べ歩きグルメ

街歩きしながら手軽に楽しめるご当地の味を、厳選してご紹介!

シチリア島は、おいしいものばかりのイタリアの中でも、特にドルチェ(おやつ)がおいしいことで知られています。甘いものが大好きなロベルトさんが、カルタジローネのベスト・ドルチェを紹介してくれました。

カンノーロ

シチリアを代表するお菓子。ビスケットの生地を筒に巻いてかりかりになるまで揚げ、その中にリコッタチーズ(ヤギのチーズ)と砂糖を混ぜたクリームをたっぷり詰めこみます。映画、ゴッドファーザーにも小道具として出てきていますよ。

ブリオッシュ・コン・ジェラート

ジェラート、つまりアイスクリームをパンに挟んだ、ボリューム満点のおやつ。お好みのジェラートをいくつでも選んで、ハンバーガーのようにして食べます。夏場になると、シチリアのジェラート屋さんではよく見かけ、朝食代わりに食べる人もいるそうです。名産のピスタチオ味のジェラートは特におすすめ。

パスタ・ディ・マンドルラ

シチリア風のアーモンドクッキー。原料は、アーモンドと砂糖。卵白やオリーブオイルを少し混ぜます。小麦粉はいっさい使っていないので、ほぼまるごとアーモンド。カルタジローネでは、来客やお祝い事に欠かせない、とても大事なアイテムです。

ちょっとより道

街からちょっと足をのばして、イチ押しの観光スポットを訪ねます!

古代ギリシャ遺跡 アグリジェント
語り:パパイヤ鈴木

 シチリア島観光のハイライト、ユネスコの世界遺産にも登録されているアグリジェント遺跡。古代ギリシャ人が植民した「神殿の谷」と呼ばれる一帯には、紀元前5世紀を中心に建設された神殿が20近く残っています。当時アグリジェントには30万人もの人々が暮らし「人間の都市で最も美しい」と讃えられたのだとか。
 遺跡の周りに、桜によく似た花がいっぱい咲いていました。聞けばこれはアーモンドの花。アーモンドは桜と同じバラ科サクラ属、春先に開花するため、アグリジェントでは春の訪れを象徴する花とされているそうです。神殿の前ではちょうど「アーモンドの花祭」も開催されていました。アーモンドの花祭で民族舞踊を披露する子どもたちと一緒に、春の訪れを体感しました。

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