これまでの街歩き

マヤの伝統息づく
アンティグア/ グアテマラ

2018年3月27日(火) 初回放送

語り:田畑智子

撮影時期:2017年12月

世界地図

地図

場所

 アンティグアは中米グアテマラの高原都市。首都グアテマラシティから西へ40km、車で1時間ほどの場所にあります。標高およそ1500m、熱帯の高原にあるため1年中温暖で気温25度前後です。
 野菜や果物は年間通して収穫でき、花も常時咲き誇っていることから、「永遠のバラの都」とも呼ばれています。
 この街は四方を火山に囲まれています。南側のアグア山(標高3,760m)は、標高だけでなく山容も富士山によく似た独立峰。西にあるフエゴ山(標高3,763m)は活火山で常に噴煙を上げていて、アンティグア市内からでもその様子がうかがえます。
 街の周辺では野菜や果物だけでなくコーヒーの栽培も盛んで、大小さまざまなコーヒー農園でおいしい「グアテマラコーヒー」を生産しています。

Information

いろんな要素が“ミックス”された街

 グアテマラの古都アンティグアはいろいろな要素がミックスしたユニークな街です。
 大きな特徴の一つは、古代マヤの伝統。紀元前1千年ごろから中米各地で栄えたマヤ文明は、独特の文字や高度な天文学の知識を持ち、自然の神々や精霊を信仰していました。現在のアンティグアの住民の多くは先住民で、マヤの末えいです。今も民族衣装を身につけ古代から伝わるさまざまな習慣を受け継いでいます。
 もう一つの特徴は、街のあちこちにある廃虚。16世紀に中米スペイン植民地の首都となったこの街では、数多くの壮麗な建造物が1773年の大地震で倒壊しました。その後、大聖堂など一部の建物は再建されましたが、20世紀に入ると政府は、大地震の記憶を忘れないようにと主だった建物を廃虚として保全することにしたのです。いまアンティグアは世界文化遺産に登録され、植民地時代の面影を残す通りのたたずまいも大切に守られています。

食べ歩きグルメ

街歩きしながら手軽に楽しめるご当地の味を、厳選してご紹介!

アンティグアの料理の特徴は色んな要素が混じり合っているところです。今回は、食べることが大好きな地元ミュージシャンのヒルベルトさんに、ピアニカを使って「ミックス」料理を紹介してもらいました!

タパードス

魚介のスープ。グアテマラは海の幸も山の幸も豊かで、タパードスにはその両方がミックスされています。畑で収穫したバナナとキャッサバを煮て、海からのエビやカニ、野山のタニシを入れます。そこにココナッツミルクをたっぷり投入して完成。食べる直前に熱々の揚げ魚をほぐして入れると香ばしさが倍増。海と山の旨みが詰まった奥深い味の逸品です。

トスターダ

小腹がすいた時に最適な屋台の軽食。揚げたトルティーヤの上に、肉や野菜のマリネなど好みの具材を山盛りにトッピングします。中でも絶対に欠かせないのが、アボカド。アンティグアの人は「お腹が緑色してる」といわれるほどアボカド好きなんです。トスターダにかぶりつけば、揚げトルティーヤのカリカリ感やアボカドの甘い香り、肉野菜の風味などいろいろな味と触感のミックスを楽しめます。

ティピコ

ティピコは朝ごはんの定番メニュー。主食のトルティーヤはトウモロコシの粉を練ってパンケーキみたいに焼いたもので、マヤの時代から食べられてきた伝統食です。おかずのメインは西洋風のソーセージエッグ。付け合わせには地元食の焼きバナナやインゲン豆のペーストを。マヤの伝統食と西洋食をミックスさせた、そんな一品です。

ちょっとより道

街からちょっと足をのばして、イチ押しの観光スポットを訪ねます!

アティトラン湖~古代マヤの風習残る村
語り:つぶやきシロー

 アンティグアの西約80kmにあるアティトラン湖の湖畔には、マヤの伝統や風習を強く守っている人たちが暮らしています。湖へはバスを乗り継ぎ3時間ほどで到着。船に乗り換えて対岸にある村へと向かいます。
 村に到着してまず目に入るのは、通りの店に並ぶ色鮮やかな民族衣装や布。店の奥は工房になっていて、刺しゅうや織物、染色をしている人もいました。染料は天然の植物です。染め色は常に同じとはいかないが、それでいい、と工房の女性は言います。「自然と争わない」マヤの時代から伝わる知恵を垣間見ました。
 坂道を登っていると、カラフルな色のロウソクを燃やして行う儀式に遭遇しました。何年も体調が良くないおばあさんを癒す儀式。おばあさんは、おかげでずいぶん具合が良くなったそうです。司祭の女性は「人々が心の糧を求める限り、マヤの儀式は続けられていく」と話してくれました。
 美しい湖のほとりでは、マヤの美しい心が今も生きていました。

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