これまでの街歩き

セビリア/ スペイン

2006年4月11日(火) 初回放送

語り:矢崎 滋

撮影時期:2006年3月

街の「職人」

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街を歩き始めて、まず地元の方に勧められたのは、陶器通り。小さな路地に、さまざまな色や形の美しいタイルが飾られた陶器屋が並び、歩いているだけでも十分楽しめる通りでした。
その先で、カンカンという音に誘われ建物をのぞき込むと、そこは銀細工の工房。細かい手作業に真剣なまなざしの職人さんたちが働いていました。さらにその先にはガラスの照明器具を作るガラス工房が…。本当に小さな工房でしたが、職人さんの作品への情熱や自信が感じられました。気さくで人のいい職人さんによると、その近くにはギターの工房もあるそうです。
あまり知られていないトリアナ地区、実は、職人さんの街だったのです。ガイドブックから少し離れ、街をぶらぶら歩いてみる。そんな街歩きだからこその出会いでした。

街の「日本人」

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トリアナ地区を歩いていると、美しい中庭を発見。鳥のさえずりも聞こえてきました。誘われるような気持ちでそのお宅に入らせていただくと、ある日本人のことをうかがいました。永川玲二さん。ジェイムズ・ジョイスやシェイクスピア、ガルシア・ロルカなどを翻訳されていた英文学者です。すでにお亡くなりになっていたのですが、生前、仲の良かった友人の方に、永川さん自慢の展望台へ連れていっていただきました。そこではグアダルキビル川のゆったりとした流れと美しいイザベル2世橋、そして何よりセビリアの澄み渡った空を堪能することができました。
日中はまぶしいほどの青空にすじ状の雲。夕方にはヒラルダの塔がライトアップされ、また違う表情を見せてくれました。大好きな人たちとお酒を楽しみ、セビリアの風景に酔いながら人生を満喫していたという永川さん。セビリアを愛した日本人に、この街の素晴らしさを教えてもらいました。

街の「VERDE(緑)」

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セビリアの街を歩いていると、至る所で美しい緑に出会うことができます。街路には、こんもりとした緑の帽子をかぶっているようなオレンジの木が並び、個人のお宅でも玄関先や中庭を緑で美しく飾っています。また旧ユダヤ人街のサンタ・クルス地区には「ベルデ通り」、その名の通り「緑通り」というものまで存在します。セビリアの真っ青な空、白や独特の黄色の外壁に、この緑が実に映えるのです。
緑は街を美しく飾るだけではありません。アンダルシア地方のセビリアの夏は、特に厳しいそうです。緑の木々や草花は、暑さを和らげてくれる効果もあるのだそう。セビリアの人たちの暮らし方の知恵なのですね。

※NHKサイトを離れます
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