2006年7月25日(火) 初回放送
語り:中嶋朋子
撮影時期:2006年6月
民家の白壁沿いの静かな路地を歩いていると、後ろからガチャガチャと自転車の音が聞こえてきました。あわてて横によけると、次から次へと自転車が通り過ぎていきます。朝8時。狭い路地だけど、立派な通勤路なのですね。二人乗りが多くてちょっと危ないけれど、日本の満員電車に比べたら優雅な通勤風景でした。
道端の木陰でバシャバシャと水の音をさせて、二人のご婦人が洗濯をしていました。
洗濯場にはバケツひとつがやっと入る大きさの六角形の井戸が二つあります。中をのぞいてみると、豊かな水をたたえていました。さすが水の都、蘇州です。井戸は他にも、街のあちこちにありました。飲料水には使えないそうですが、洗濯や掃除用の水として、蘇州の人々の生活の一部となっていました。
蘇州のランドマーク、北寺塔へ向って歩いていると、食堂の店先で、料理人が大きな鉄鍋をガスコンロの上でクルクル回しています。ゴーッという音をたててガスを最大火力にすると、またクルクルと鍋を回して、出来上がり。フタを開けると、中身は焼き饅頭です。びっしりと並べた饅頭に油をたっぶりとかけて、最大火力で焼いているのです。クルクルと回すのは、饅頭が焦げないため、だったんですね。饅頭の中身はお肉、つまり肉まんです。近所の人たちにも人気で、みんなたくさん買っていきました。