これまでの街歩き

タリン/ エストニア

2010年7月11日(日) 初回放送

語り:矢崎 滋

撮影時期:2010年5月

街の「古井戸」

Photo

下町の道路の真ん中に、かわいらしい屋根のついた井戸を発見。でも、しっかりとふたがされています。何やら意味ありげ、とのぞいていると…通りがかった地元の女性に声をかけられました。聞けばこの街で最も古い井戸で、「人魚の伝説」があるとのこと!
その伝説とは…かつてこの井戸には人魚が住み、街の人々は水と引き換えに贈り物をしていた。人魚は人間の女性を欲しがったが、人々は女性の代わりに猫をささげ、人魚は井戸の水を枯らしてしまった、というもの。
「人魚伝説」があるなんて、さすが中世の街。井戸のことを教えてくれた女性は、道案内までしてくれました。この古井戸、道の真ん中にあって、交通にはちょっと邪魔なような気もしますが、街の人たちは大切にしているんですね。
ほかにもタリンでは、幽霊伝説をよく耳にします。城壁の塔の上に白い人影を見た…僧侶(そうりょ)姿の幽霊に「長い足」で出会った…などなど。こうした場所を訪ねる幽霊ツアーもおこなわれています。

街の「市議会薬局」

Photo

街のシンボルのひとつ、高くとがった塔を持つ旧市庁舎がある旧市庁舎広場(ラエコヤ広場)で、ヘビの看板のかかった不思議な建物を発見。中に入って話を聞いてみると、ここはなんと1422年創業の薬局でした!市議会に家賃を払っているので「市議会薬局」。ヨーロッパ最古の薬局ともいわれ、ロシアのピョートル大帝の臨終の床にも呼ばれたのだとか。
店員さんが見せてくれたのは、当時作られていた「恋の病」に効く薬の原材料。犬のフン、カエル、馬のひづめ、ミツバチを焼いたもの、昆虫、ヘビの油…薬とは思えないようなものばかりです。「恋の病」に効く薬…いったい、どんな人たちが買っていたのでしょうか?
運が良ければ、薬局の地下でここで造られた秘蔵の薬草ワインを試飲できるかも。

街の「旧修道院」

Photo

街を守る高い城壁のすぐそばで、趣のあるトンネルを見つけました。くぐってみると、こけむした階段やツタのはう石壁で囲まれた空間が…。ここでひとりの男性に出会いました。聞けば、ここは13世紀に建てられた旧ドミニコ修道院。今は修道院としては使われておらず、地下室の一部をこの男性がアトリエにしているんだとか!画家さんだったんですね。地下のアトリエに案内していただくと、むき出しの石の壁にはたくさんの絵が。中は意外に広く、昔の暖炉もそのまま残されています。
この男性はロシア出身で、ウクライナ、ドイツなどさまざまな国をまわり、兵隊や警察官、雑誌の風刺漫画など、いろいろな仕事をして、たどり着いたのがタリンの旧市街にあるこの旧修道院でした。
「美しいタリンの旧市街そのものが作品づくりのインスピレーションにつながる。こんなステキな環境はほかのヨーロッパの都市でも見つからない」と言います。
ここで絵を描くと、歴史とひとつになれる気がするのかもしれませんね。

※NHKサイトを離れます
ページトップ