これまでの街歩き

ロンダ/ スペイン

2011年5月25日(水) 初回放送

語り:松田洋治

撮影時期:2011年3月

街の「崖掃除」

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街の西側にある展望テラスから崖を眺めていると、岩壁にロープでぶら下がっている二人組を発見しました。彼らは市の清掃課の職員。しかも崖を専門とする掃除のプロなのです。たくさんの旅行者をひきつけるロンダの魅力は、何といっても断崖絶壁の奇観。それを常にきれいに保つのが彼らの使命で、高さ170m、幅500mにもおよぶ崖全域のゴミ収集を、ホセさんとパコさんのたった二人でカバー。それに加えて、石橋の側面に生える雑草をとったり、観光客の落とし物を拾いに行くこともあるというのですから、なんとまあ大変な仕事…と思いきや、二人はいたって楽しそうです。ホセさんとパコさんはもともとロッククライミングや洞窟探検が趣味のアウトドアマンなので、「趣味が仕事になってほんとにラッキー」なのだとか。
ところで、観光客の落とし物で意外と多いのはメガネ。あまりの絶景に身を乗り出して下を眺めているうちにポロリ…というパターンが多いそうです。みなさんもロンダにお出かけの際は、二人のお世話にならないよう注意しましょうね!

街の「卵」

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旧市街の細い路地を歩いていると、一つのかごを仲良く運んでいる男女に出会いました。中身はたくさんの卵!聞けば近々結婚を控えているので、結婚式の当日が晴れるように願いをこめ、修道院に卵を納めに行くのだということ。これは昔からずっと続いている習慣なのだそうです。
向かった先は聖クララ派の修道院。二人が修道院の小さな窓越しに卵を差し出すと、代わりに一編の詩がシスターから手渡されました。これは愛と献身をうたった「聖フランシスコの平和の祈り」と呼ばれるもの。聖クララは聖フランシスコに最初に帰依した女性で、この詩は古今東西さまざまな場面で引用されてきたそうです。
ところで、なぜ卵なのでしょうか?一説には聖クララの「Clara」と、卵白を意味するスペイン語「Clara de huevo」をかけたのではないかと言われていますが、街の人、誰にきいてもはっきりした答えは返ってきませんでした。ロンダのみなさんいわく、「だって昔からずっと卵と決まってたんだよ」。

街の「ダンス教室」

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夕方、新市街に聞き覚えのある楽器の音が響いていました。音をたどっていくと、建物の前で学校帰りの少女たちがカスタネットの練習中。そこはアンダルシアの伝統舞踊を教える教室でした。
応対してくださったアデラさんは、実はこの教室の創立者。1950年、当時、後継者不足の問題を抱えていたアンダルシア各地の伝統舞踊を救うため、自ら村々を回り、踊りを覚え、それを次の世代に教えるという活動を始めました。その頃、彼女はまだ20代の現役ダンサーだったそうです。以来、60年以上が経ち、この教室では老若男女およそ500人がさまざまなダンスと歌を学んでいます。スペインのダンスではフラメンコが有名ですが、それも無数にある伝統舞踊のひとつに過ぎないのだそうです。
こちらの教室ではフラメンコ以外にも24種類の伝統舞踊を教えているそうです。中には母娘三代にわたる踊り手もいるのだとか。国際的な評価も高く、これまで43回(うち日本が3回)の海外公演を行い、大成功を収めてきました。踊りを学ぶため、遠く海外からここロンダを目指すダンサーも少なくありません。アデラさんは言います。「ダンスのない人生なんて考えられないわ!」

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