2012年5月29日(火) 初回放送
語り:中嶋朋子
撮影時期:2012年3月
住宅街から広い歩道に出ると、人通りが多い場所にやってきました。地元の人たちのあとをついて行くと通り沿いの赤い扉の中へと入っていきます。扉の前にいた男性に話を聞いてみると、ここで行われているのは「チャレアーダ」という競技だそう。男性に連れられるまま中に入ってみると、ドームに着きました。広い土のグラウンドにいたのは馬。そして周りには、馬にまたがったカウボーイ風の人たち。
チャレアーダはロデオの原型で、チャロと呼ばれたメキシコのカウボーイたちが腕を競ったのが始まりなんだそうです。「これこそメキシコ人の魂と愛。チャレアーダはメキシコ人の誇りだよ」と入口の男性が誇らしげに教えてくれました。
7歳からここに通っているというお年寄りや、息子たちをチャレアーダの学校に通わせているというご夫婦たちの歓声で、会場は大盛り上がり。カウボーイの伝統を守るグアダラハラの人たちにとって、チャレアーダは開拓者の血が騒ぐイベントのようです。
カラフルな住宅街を歩いていると、馬車と遭遇。男性2人が見事な手綱さばきで動かし、後ろには大きなドラム缶を積んでいます。何を運んでいるのかな…と思い、ついて行くと住宅街のとあるお宅へ到着。馬車から降りた2人がドラム缶から出し始めたのは、なんと水。聞くと、この水は料理にも使う飲料水で、深さ10m以上の井戸からくんだ特別な水なんですって。馬車で水を宅配していたんですね。
「馬車はトラックと違って反対車線に入っても何も言われず、大きな市場にでもどこにでも入っていけるから便利」だという売り子の男性、この商売の3代目で、この地区には先々代から40年以上にわたって水を運んでいるそうです。一緒に乗っていたのは息子さん。彼も4代目として、おいしい水を届けていくことでしょう。
大聖堂の近く、中央広場を抜けると、多くの人でにぎわっている通りを発見。たくさんの女性が道路に椅子を出して、何かに夢中になっています。よく見ると、彼女たちがやっていたのは…編み物。話を聞くと、ここは「編み物通り」だといいます。
この通りでは、編み物の先生が路上で教室を開き、そこに多くの生徒たちがやって来ます。生徒である主婦たちにとって、編み物は忙しい家事の合間のちょっとした息抜き。無心に編むことで、いろいろな悩みも忘れてリラックスすることができるといいます。
7年間、毎日教えに来ているという女性の周りには生徒たちがたくさん。彼女いわく「この街の人たちはとても温かくて、親切で、礼儀正しい。女性は美しいし、働き者で、仕事熱心なの」。開拓者の街グアダラハラの、ちょっと意外な一面をかいま見ることができました。