これまでの街歩き

バンコク/ タイ

2013年1月22日(火) 初回放送

語り:桂文珍

撮影時期:2012年11月

街の「きれいな数字」

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 露店がずらりと並ぶ大通りで、異様な熱気を放つ人だかりに遭遇しました。みんな真剣な顔で何かを物色しています。人波をかき分けてのぞいてみると、宝くじが売られていました。売り場から聞こえるのは「きれいな数字、あるよ!」の声。数字がきれいって、どういうこと?お店の人に聞いてみると、「555」や「111」のようなゾロ目をはじめ、仏暦にちなんだ数字など、ラッキーナンバーのことを言うのだそうです。人気のある数字は、同じ宝くじでも高く売れるのだとか。「きれいな数字」は人それぞれにあって、自分の家の番地や恋人の誕生日、果ては家族が入院している病室の番号まで、“これ!”という数字を見つけては、宝くじを買うのだそうです。だからみんな、真剣だったんですね。当選番号の発表はテレビで生中継され、翌日の新聞でも大々的に発表されるということですから、まさに国民的な行事です。
 「きれいな数字」は宝くじだけでなく、車のナンバープレートでも重要。人気のナンバーは大変な高値で取り引きされているのだとか。街で「999」というプレートを見かけたら、高級車であることが多いですよ。

街の「ねはん仏」

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 「バンコクに来たら、ここは外せないよ!」三輪タクシー・トゥクトゥクの運転手さんに勧められ、大きなお寺“ワット・ポー”に立ち寄ることにしました。ここはバンコク最古の寺院で、昔は古典医療の拠点にもなっていたという由緒あるお寺です。
 観光客で混み合うお堂に入ってみると、びっくり!金色に輝く巨大な仏像が横たわっているではありませんか。お釈迦(しゃか)様が入滅(にゅうめつ)する様子をあらわしたというこの巨大仏、全長46m、高さ15mもあるそうで、全身が視界に入らないほど。奥へ歩いていくと、お釈迦様の足の裏にびっしり施されている文様を発見。なんでも、らでん細工で宇宙観を描いたものだそうで、土踏まずのない平らな足の裏は人間を超越している証拠なのだとか。この圧倒的なスケールには、思わずため息が出てしまいます。お釈迦様の背中にまわると、108個の鉢が置いてあります。全部の鉢にさい銭を入れると願いごとがかなうと言われ、チャリン、チャリンという音が絶え間なく響いていました。

街の「ムエタイジム」

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 影が長く伸びてきたころ、街なかでジョギングをする子どもたちに遭遇しました。付いていくと、道端に格闘技のリングが作られ、子どもたちがグローブを着けて練習に励んでいます。そこは、タイの国技“ムエタイ”のジムでした。
 ムエタイは蹴りや肘打ちを主体とする、キックボクシングの原型になった格闘技。13世紀以前に実践的な戦闘技術として生まれ、現在でも世界最強の格闘技の一つと言われています。タイでは「子どもムエタイ」の興業試合があり、ファイトマネーまでもらえるのだとか。みんな一人前の選手なんですね。練習も真剣そのもの。サンドバッグを黙々と打ち込む少年の後ろには、熱心に声をかけるお父さんの姿が。将来はプロ選手になって、親孝行をするのかな?少年には、「わかんないよ」とはぐらかされてしまいました。お父さんは「今できることを一生懸命やればいい」と、わが子の成長を優しく見守っていました。

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