これまでの街歩き

カルカソンヌ/ フランス

2013年9月24日(火) 初回放送

語り:中嶋朋子

撮影時期:2013年7月

街の「橋の上の十字架の秘密」

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 「VILLE BASSE=下の町」と呼ばれている新市街。オード川によって隔てられた下町とシテは、昔はポンビュー橋ただ1つによって結ばれていました。
 ポンビュー橋の真ん中には、なぜか大きな十字架が…。通りすがりのおじさんが、十字架に秘められた歴史を教えてくれました。かつて十字架は、下町とシテの境界線の役割をしていました。その頃、下町とシテの住民は互いに対立しており、いさかいが起きると、それぞれの領事が十字架の下にやってきて話し合いをしていたのです。でもそれは昔の話。おじさんは日々、仲良しの友達に会いに下町とシテを行き来しているのだとか。

街の「魔法にかけられて」

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 シテのシンボル、コンタル城の中には、かわいい花壇が並ぶ庭があります。そこで出会った庭師のおじさんは、この道40年。もうすぐリタイアを控えています。おじさんにとって、ここを去るのはさびしいこと。思い出がたくさんつまった場所なのです。愛する妻との出会いも、コンタル城の中でのことでした。見学者の案内係をしていた女性に告白され、デートを重ね、お城の中でキスをしたり…。「一度ここを知ったら離れられなくなる。魔法にかけられた街だからね」とおじさんは語ります。おじさんの若き日のロマンスも、シテがかけたすてきな魔法だったのかもしれません。

街の「友情のベンチ」

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 オード川沿いには、住民たちが憩うベンチがあります。その内の一つにおじいさんたちが集まって、世間話に花を咲かせていました。おじいさんたちは小学校からの幼なじみ。いたずらも一緒にして、共に育ってきました。中には亡くなった友達もいますが、彼らは「今もこのベンチにいる」のだといいます。というのも、おじいさんたちが座るベンチにつけられたプレートには、亡くなった彼らの名前が刻まれているのです。カルカソンヌの考え方では、死後も魂は残り、プレートにも魂が宿るのだそう。ベンチは、いつまでも友達を大事にする強い友情の証しでした。「もうすぐプレートになりそうなやつもいるけどな」と笑うおじいさんたち、まだまだ元気いっぱいです。

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