これまでの街歩き

香港・湾仔[ワンチャイ]/ 中国

2014年7月1日(火) 初回放送

語り:遠藤久美子

撮影時期:2014年4月

街の「小さな廟(びょう)」

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 高層ビルが立ち並ぶ繁華街の大通りに、ぽつんと小さな廟が残っていました。「洪聖廟」という道教の廟で、1847年に建てられたものだとか。中に入ると、地元の人が熱心にお参りしている最中でした。
 「建立当時、廟の前は海で海辺に巨大な石があり、その石をあがめるために廟が建てられたのだ」と、職員の女性が教えてくれました。大きな石は縁結びの神様なのだそう。職員の女性は、「おかげで家族を大切にするイケメンの夫と出会えたの」と、うれしそうに話してくれました。ほかにも漁民を守る神様、学問の神様などさまざまな神様がまつられ、地元の人たちの心の支えとなっています。

街の「歴史的建築」

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 山側の昔ながらの住宅街を歩いていると、青く塗られたちょっと古そうなビルが。中に入ると、古い形のタイプライターや懐かしいお弁当箱、街のかつての写真や街の様子を描いた絵などがところ狭しと飾られていました。実はここ、街の昔の様子を伝える展示館なのだとか。
 この展示館に利用されているビルは、1922年に建てられた唐楼というスタイルの建物で、2006年に一度取り壊し計画が持ち上がったものの、住民たちはここを街の文化を守る活動拠点にすることを政府に提案。交渉の末に保存されることになったんだそう。現在も、映画の上映会や音楽会などが開かれ、コミュニティ再生の役割を果たしています。

街の「英国風カフェ」

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 西側の住宅街の一角に、若者たちが集うおしゃれなエリアがあります。「月街」と名付けられた通りの一角で、英国育ちのデザイナーの若者が「イギリスの持つゆとりを香港に根付かせたい」と小さなカフェを開いていました。コーヒー豆や雑貨はイギリスから仕入れたもの。手作りのお菓子も出しています。お客さんには街のけん騒を離れ、暮らしの質を楽しんでほしいのだとか。定期的にライブやパフォーマンスのイベントを開くなど、新しい文化の発信地にもなっています。
 香港返還から17年。その頃生まれた若者たちが、改めてイギリスの文化に価値を見出しているなんて、ちょっと面白いですね。

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