2015年3月10日(火) 初回放送
語り:鹿賀丈史
撮影時期:2014年10月
駅前の大通りから細い路地を抜けると、金沢表参道 横安江町商店街へ。店先を朝の掃き掃除している素敵なおばあさんがいました。聞けば、95歳にして、現役ばりばり、洋服店のご主人で、東京まで自ら最新のファッションを買い付けに行くそう。
その元気の秘けつを尋ねると、「日本舞踊の新舞踊、民謡、社交ダンス・・・」と趣味をおう歌しているからとのこと。ちょっと待ってと店の奥から小振りな扇子を持ってきてくれて、得意のポーズ。「恥ずかしい」と言いながら爆笑する姿は本当にお若い!
「金沢はね、歴史があるからかしら、どっしりゆったりしていて、人が優しい。歩けば歩く程、その良さが分かると思います」と教えて頂きました。
浅野川にかかる風情のある木の橋、梅の橋を渡ろうとすると、川の中に人影を発見。鹿賀丈史さん、幼い頃に友禅職人さんによく遊んでもらっていたそう。しかし、昭和40年代に川の水質が悪化した時、ほとんどの職人さんは友禅流しが出来る工場へ移動してしまったんだとか。
懐かしさを込めてお話を聞くと、浅野川で友禅流しをしているのは、今や、こちらの職人さんひとり、とのこと。この職人さんが扱うのは黒い反物だけで、染料の進化のおかげもあって、なんとか浅野川で続けられているそう。
最後に、「川さえ条件がよければここで続けていたいです」と。金沢の風物詩とも言える浅野川の友禅流し、いつまでも残ってほしい景色です。
浅野川沿いの茶屋街、主計町茶屋街を歩いていると、ひときわ大きな建物からにぎやかな鼓や笛の音が。聞けば、芸妓さんたちが金沢素囃子の稽古中なんだとか。ちょっとだけのぞかせて頂くと…芸妓衆が一堂に会して、迫力満点。金沢素囃子は唄の入らない楽器のみの演奏で、まるで邦楽のジャズ。テンポを合わせるのはとっても難しそう。
「ビシッと全員の息があった時には鳥肌が立ちますよ。まだ練習中でうまく出来ないんですけどね。」と教えてくれたのは8年目の芸妓さん。「8年目なんてまだまだひよっこ。80代で現役の大きいお姉さんも活躍してますから」と。技も気概も一緒に受け継がれていくようですね。