これまでの街歩き

ルネサンス薫る街
フェラーラ/ イタリア

2016年6月28日(火) 初回放送

語り:中嶋朋子

撮影時期:2016年3月

街の「仕立て屋」

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 街の中で最も歴史ある地区の路地裏で小さな仕立て屋さんを発見。のぞかせてもらうと、常連のお客さんの背広を作っているところ。店主はこの道63年!作業で使用するハサミなどに相当な年季が。1針1針、丁寧に手で縫うからこそ、「腕は確かで価格も高くない、ホンモノの背広をつくってくれる」とお客さんからの評判は高く、40年以上の付き合いになる方も多いんだとか。
 街にある仕立て屋さんは今はここだけなんだとか。「この仕事を継ぐ人はもういない」と店主。「ホンモノの背広」をつくる最後の仕立て屋さん、できれば途絶えることなくいつまでも残ってほしいです…。

街の「フィルム店」

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 中世のたたずまいが残る商店街の一角に「思い出の保存」という看板を掲げたお店を発見。店主に尋ねると、人々が映写機がなくて見ることができなくなった昔のプライベート・フィルムをデジタル映像化して、届けているんだとか。お店を開くきっかけは店主の父が早く亡くなったこと。「フィルムを見ることが唯一、父に会える方法だった」と言います。
 偶然にも、ちょうど仕上がった映像をお客さんに届けるところ、ということで同行させてもらうことに。依頼主のご夫婦はよみがえった30年程前の自分たちの結婚式の映像を見ながら、懐かしい記憶に浸っていらっしゃいました。

街の「コーラス隊」

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 日が暮れて暗くなった街並みを歩いていると大きな建物の中から美しい歌声が聞こえてきました。中に入ると中庭でコーラスの練習をしている方たちを発見。歌っているのはルネサンス時代に作られたカンツォネッタ集の一部で情愛ジャンルの曲。13世紀から16世紀にかけ街を治めたエステ家の城でも歌われていたんだとか。
 そして、歌っているコーラス隊は全員プロではなく普段は学生や銀行員、医師などアマチュアの方々。「一番好きなのは悲劇的なところ」と、普段教師をしている女性は言います。
 約600年の時を越えてルネサンス時代の方たちと心を通わせるハーモニーが夜の街に響き渡っていました。

※NHKサイトを離れます
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