これまでの街歩き

露日中の交錯する街
大連/ 中国

2016年12月13日(火) 初回放送

語り:中嶋朋子

撮影時期:2016年10月

街の「ハトおじさん」

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 旧市街の中心部に位置する「中山広場」は、日本時代に建てられた重厚な大規模建築に囲まれた、市民の憩いの場。数多くのハトが住んでいます。日本で公園などにいるハトと同じ種類に見えますが、人に慣れていて、肩に乗ったり手に乗って餌をもらったりしています。
 勝手に住んでいるハトかと思いきや、餌を売っているおじさんが飼っているそうです。聞くと、20年前に失職したのを機にハトを飼い始めたとか。焼き鳥屋さんから、生きたハトを買っては公園に放し、その数は500羽に達しているといいます。
 猫に襲われたり、人に盗まれたりされないように、おじさんは夏も冬も公園に泊まり込んで番をしているそうで、公園利用者からはハトとともに親しまれています。

街の「おしゃれ好きな大連人気質」

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 街の東にある二七広場界わいは「衣類の街」。ありとあらゆる種類の生地をはじめ、ボタンやファスナーなど「衣」関連商品を扱う小売店が多く集まっています。そうした店が多く入っている巨大モールを訪ね、生地を買っている女性に会いました。いまから服に仕立てると言うので、ついて行くと、フロアの別の場所には仕立屋さんがずらっと並んだコーナー。そこで早速、採寸を始めます。
 仕立屋さんに聞くと大連には「とうもろこしの粉で我慢しても 美しい服を着る」ということわざがあり、おしゃれを大事にするのが伝統なのだとか。改革開放後、日本や韓国の影響を受けたから……というのが客の女性の意見でしたが、街の始まりから外国人と付き合ってきた歴史とも関連があるのかもしれません。

街の「古い建築をいとおしむ人々」

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 街の南には「南山」という低い山が連なっています。その山麓(さんろく)は日本時代、高級住宅街でした。いまも当時の家や、日本人が好んで植えたという楓(かえで)の木が残り、楓林街(ふうりんがい)と呼ばれています。
 古いアパートを見つけて訪ねたところ、50年住んでいるという男性に案内してもらえました。1930年代に日本人が設計したそうで、廊下や階段、ドアの取っ手に至るまで建築当初のままとか。戦後は旧ソ連の専門家や、中国政府や軍の関係者が住んでいたそうです。男性は子どもたちから「こんな古い家を出て、新しい家に移ろう」と提案されるのですが、部屋の隅にまで幼時からの思い出がこもるアパートは離れることが出来ないと、思いを語ってくれました。

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