これまでの街歩き

シベリアの短い夏
イルクーツク/ ロシア

2017年10月31日(火) 初回放送

語り:田畑智子

撮影時期:2017年8月

街の「教会の修復士」

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 市内を散策していると、玉ねぎ型の屋根がついた美しい白壁の建物が現れました。外壁のあちこちに施されたきれいな装飾。17世紀に建てられ、聖人の壁画で有名なボゴヤヴレンスキー聖堂です。中に入ると豪華けんらん、すばらしい絵の数々が壁の全面にわたって描かれています。
 かつて社会主義時代に破壊され、工場として使われていたという教会。民主化後に教会が復活してから、20年以上かけて修復作業が行われてきたのだそうです。描いた絵が後世に残っていくことについて「すべては神様しだい、特別なことは考えずに仕事をこなしていくだけさ」と、修復士の言葉。苦しい時代を乗り越えてきた、信仰の力を感じる出会いでした。

街の「木造住宅」

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 昔ながらの木造住宅が並ぶ一角。住宅沿いに並んだ街路樹の木漏れ日の中を歩いていると、そのうちの一軒に住んでいるというお母さんと娘さんに出会いました。19世紀半ばに建てられたという家は、シベリアの立派なカラマツで建てられたもの。内装も広々として、とてもおしゃれな雰囲気です。
 この家には、お母さんのご先祖様が100年前に住みはじめてからというもの、先祖代々住んできたそうです。すると、お父さんがこの家にまつわる不思議な話を教えてくれました。「この家に住んでいる家族のもとには女の子しか生まれないんだ」なんと、おばあさんも、母親も、そして自分たちの子供も生まれてきたのは娘だけ!なんだそうです。ちょっと神秘的な力を感じる出会いでした。

街の「古本屋」

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 木造住宅が並ぶ街並みを散策していて見つけた謎の看板。庭に入ると、そこにはうず高く積まれた大量の本!たくさんの人たちが熱心に本の山に見入っています。ここは「本のかくれが」と呼ばれるお店。店主が集めてきた不要になった本を、安価な値段で売っているそうです。
 店のオーナーは若い青年。捨てられていた本に心を痛め、必要としている人たちに届けたいと、この店を開きました。本の中には100年前にモスクワで出版された本や、プレゼントとして贈られたものも。持ち主の思い出が詰まったたくさんの本たち。「本に第二の人生を歩むチャンスを与えたいんだ」と青年は語ってくれました。

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