これまでの街歩き

ルネサンスの誇り
フィレンツェ/ イタリア

2018年4月3日(火) 初回放送

語り:松重 豊

撮影時期:2017年11月

街の「ワインの小窓」

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 石畳の路地を歩いていると、壁にとても小さな窓を見つけました。その建物はレストラン。ちょうど仕込み中のシェフに聞いたところ、昔はこの窓を通してワインを売っていたとのことでした。実はこの建物、14世紀から続く名門ワイナリーの所有。つまり、この窓は「蔵元直売」のためにつくられたものなのです。イタリアでは昔からワインは貴族の収入源。もともと小売りはしていませんでしたが、17世紀にフィレンツェを襲った不景気以来、こうした販売スタイルも取られるようになったのだとか。街には同じような小窓がたくさん残っています。
 ちなみにレストランはもとワインの貯蔵庫で、1880年の創業。自慢はトスカーナ州が誇るキアニーナ牛のビステッカ。予約必須の人気店です。

街の「アートな靴屋さん」

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 革製品を売る市場の近くで、びっくりするほど個性的な靴屋さんを発見。立派なヒゲが印象的なオーナー、アルビオンさんは、1950年代から活動する靴職人にしてアーティスト。「自由な心で、すべての人が互いを尊重して生きられるように」との願いを、靴を通じて表現しているそうです。
 アルビオンさんは郊外にブドウ畑やミュージアム、宿泊施設まで備えた広大な土地も所有。そこは芸術家たちの交流の場となっています。彼いわく「フィレンツェは過去の偉大な遺産で満ちているが、私たちは満足してはいけない。それをより良いものにしていかなくてはならないんだ」。
 靴は意外にも、リーズナブルな価格。世界にひとつだけのフィレンツェ土産が見つかるかもしれません。

街の「カラフル・タクシー」

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 石畳の路地を抜けた広場で、カラフルな絵がびっしり描かれた車に遭遇。なんと個人タクシーでした。運転手の女性、カテリーナさんもまたかなり人目を引く出で立ち。聞けば「病気の子どもたちを元気づけるため」とのこと。通常のタクシー業務と並行して、ガンに冒された子どもたちの通院を無料サポートしているのです。
 活動を始めたきっかけは夫を病で失ったこと。同じ苦しみを持つ人々の力になることを決意して、夫のタクシー営業許可証を引き継いだのだそう。いつも明るい笑顔を振りまいている彼女ですが、「ほんとうは恥ずかしがり屋なのよ。帽子をかぶることで変身するの」と笑っていました。街の人々は敬意と親愛を込め、彼女を「カテリーナおばさん(Zia Caterina)」と呼んでいます。

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