これまでの街歩き

コンヤ/ トルコ

2009年11月12日(木) 初回放送

語り:高橋克実

撮影時期:2009年7月

世界地図

地図

場所

コンヤは人口98万を擁するトルコ内陸部の主要都市です。
11世紀末からおよそ200年間にわたってルーム・セルジューク朝というイスラム国家の都が置かれ、文化や宗教の中心を担っていました。もっとも繁栄したのは13世紀。宗教家メブラーナが教団を開いたのもそのころでした。メブラーナの教えを踊りで表現した「セマー(旋回舞踊)」は、ユネスコの無形文化遺産にも登録され、多くの観光客を魅了しています。また、シルクロードの重要な交易拠点としても発達。現在でも「商人の街」として知られています。酒類を扱うレストランや店はほとんどなくイスラムの伝統を重んじる街としても知られています。

Information

セマー(旋回舞踊)

コンヤには、世界無形遺産にも登録されている有名な踊りがあります。その名は「セマー(旋回舞踊)」。
13世紀、コンヤで教団を開いた、メブラーナ・ジェラレッディン・ルーミーの教えを表したもので、その名の通り、ただひたすらまわり続けます。右手を天に、左手を地に向けているのは、右手で神の恵みを受けとり、左手でその恵みを人々に与えることを意味しています。そして、回転し続けることで、自我を捨て、神と一体となることを目指すのです。
東西文明の十字路・トルコは、さまざまな民族と宗教の坩堝(るつぼ)でした。メブラーナは、互いに対話することが、共存への道だと唱え続けたことでも知られています。有名な言葉は、こちら。「来たれ!誰であっても来たれ!キリスト教徒であっても、拝火教徒、偶像崇拝者であっても来たれ!この門は絶望の門ではない、百度の誓いを破ったとしても来たれ!」
コンヤ市内にあるメブラーナ博物館にはメブラーナの霊廟(れいびょう)があり、トルコ全土から訪れる大勢の人々でいつもにぎわっています。「セマー(旋回舞踊)」のショーは、博物館から約1キロ離れたメブラーナ文化センターで不定期に開催されているので、事前にコンヤ市観光局へお問い合わせくださいね。

巡礼用品専門店

イスラム教徒にとって聖地メッカを巡礼することは一生の一大事です。コンヤには、巡礼の旅をサポートする巡礼用品専門店があり、旅に必要なさまざまな品を取りそろえています。
まずは、メッカ滞在中に男性が身につけるための2枚の布。色は白、縁に縫い目がないのが特徴です。「人間は、神の前ではすべて平等である」という教えを表しています。
他の商品は、ほとんどすべて土産品です。巡礼ではお祈りに専念したい、という理由から、出発前に購入してしまうのが一般的なんです。では、どんなものがお土産になるのか…。
例えば、お祈り用の小さい絨毯(じゅうたん)。床や地面に敷いてどこでもお祈りをすることができます。ほかには、お祈り用の帽子や、預言者ムハンマドが歯ブラシに使ったとされる木など…。こうした日々の暮らしに欠かせない宗教にまつわる品々をワンセットにして親類縁者に配るのがならわしなんです。一人あたり平均150セットは購入しますので、メッカ巡礼がいかに大イベントであるか、分かりますね。
また、メッカでわき出る聖なる水も取り扱っています。「すべては神の名から始まる」と唱えてこの水をいただき、巡礼を無事に終えたことを神に感謝するんです。

小鳥のオークション

コンヤは、愛鳥家の多い街として知られています。住宅街の一角にある小鳥販売店。一見普通のお店ですが、隣の建物をのぞくと、小鳥のオークションが開かれていました。主催はコンヤ・カナリア協会。週に2回開催され愛鳥家たちの社交場になっています。番(つがい)の相手を求める人、色の美しい鳥を探す人…。コンヤの愛鳥家たちは、育てる楽しみのほかに、鳥との出会いそのものを楽しんでいるのです。
中にはちょっと変わったことに熱中する愛鳥家もいます。カセットテープにビュルビュルという鳥の声を録音し、カナリアに覚えさせるのです。ビュルビュルは大変美しい声でさえずるのですが、渡り鳥で、かごの中で飼うのが大変に困難な鳥。そこで、生後間もないカナリアにテープを聞かせて声を覚えさせ、めでているのです。毎年ビュルビュル鳴きを競い合う全国大会も開かれチャンピオンも選ばれています。オス4歳ムラト君は昨年のチャンピオン。心が洗われる清らかな声です。

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