これまでの街歩き

コンヤ/ トルコ

2009年11月12日(木) 初回放送

語り:高橋克実

撮影時期:2009年7月

街の「“その場で写真”」

Photo

紀元前3000年の出土品が発掘されたアラアッディンの丘は、コンヤで最初に人間が定住した場所。今は公園となり、芝生の上でたくさんの人がくつろいでいます。
青年が一人、周囲に何か呼びかけながら歩いています。「“その場で写真”いかがですか?」
聞けば、「その場で写真を撮って、その場でプリントするんです」と、そのまんまの答えが返ってきました。家で充電してきたバッテリーをリュックにつめて人々の需要を満たしているんだとか。
青年は、プロではなく学生のアルバイト。稼いだお金を小遣いや学費の足しにするなど、家族への貢献のためにやっているんだそうです。
仕事ぶりを拝見させてもらいました。男性のお客さんを、普通のデジカメでカシャ!写りを客に確認すると、すぐに腰にぶら下げたプリンターにカメラを接続して、印刷開始。たしかに“その場で写真”でした。
それにしても、お客さんはなぜ“その場で写真”を依頼したのでしょうか?尋ねると「子どもの英語塾の帰りを待ってるんだ。その思い出だよ」つまり“日常を思い出に”というわけです。粋ですね。紀元前3000年から続く歴史の丘で、21世紀のデジタル技術に出会い、悠久の時を感じたひとときでした。

街の「紅茶屋さん」

Photo

コンヤでもっとも古い歴史を持つ、ベデステンイチ商店街。かつてシルクロードの重要な交易拠点のひとつとしてにぎわったこの場所で、紅茶を配達する少年と出会いました。同じ商店街のお得意さんに配達中のようで、ごちゃごちゃとした雑踏の中を、お盆を揺らしながら足早に歩いていきます。
配達帰りに、ほかのお店に立ち寄る少年。空いたグラスを下げ、同時に赤いコインのようなものを取っていました。一体何なのでしょうか?
お店までついていき、ご主人に話を伺うと、赤いコインのようなものは“マルカ”といって、代金の代わり。100枚まとめ売りしてその代金を先にもらい、紅茶1杯につき1枚もらうシステムなんだそうです。ちなみにお値段は、100枚で35リラ(約2100円)。「トルコ人の知恵だよ」とご主人はにっこり。一日700~800杯も売れるそうですから、いちいちお金のやりとりをするよりも、確かに効率はいいですね。
少年は、配達先から無断で“マルカ”を取ってきましたが、「まわりの経営者とは兄弟みたいな関係で、互いに信頼し合っている」から何の問題もないそうです。歴史の深い商店街。人と人とのつながりも、深いんですね。

街の「食材屋さん」

Photo

夕暮れせまる通りを歩いていると、ちょっと風変わりな服がぶら下がっているのを発見。風に揺れるその姿は、まるで宇宙服です。お店の入り口にはソーセージ。一体ここは何屋さん?
ご主人に話を聞くと、この服は、養蜂家の作業着でコンヤではここにしか売っていないから、目印として外に展示しているんだとか。
店内には、チーズやオリーブなどの食品が並んでいます。そしてガラスケースの中には、巣箱から取り出したままの状態のハチミツが…。このお店は新鮮なハチミツを扱う食材屋さんでした。
「紅茶でも飲んでいく?」と、ご主人がおもむろに手に取ったのはインターホン。街中のそこかしこで目にした紅茶注文用インターホンですが、まさかお店の中までとは…。ご主人が注文したのはセージティーで、お店のハチミツをたっぷりと入れてくださいました。「気持ちを落ち着かせ、胃の痛みを和らげ、せき止めにもなるよ」と、ご自慢の様子です。お客さんの間では、ハチミツ入りのセージティーをふるまう食材屋さんとして有名なんだとか。お客さんの健康まで気遣ってくれるなんて、とてもアットホームなお店ですね。

※NHKサイトを離れます
ページトップ