これまでの街歩き

大理/ 中国

2010年3月4日(木) 初回放送

語り:風吹ジュン

撮影時期:2010年1月

世界地図

地図

場所

中国南西部、ミャンマーとの国境にほど近い雲南省の古都、大理には、少数民族のペー族が多く暮らしています。民家の造りや人々の衣服から、伝統文化を大切にする気持ちを読み取ることができます。
白を尊い色とするペー族は、建物の壁も民族衣装も白が基調です。大理にはキリスト教徒も多く、雲南省で指折りの美しい教会もあります。街の北側にそびえる3000~4000m級の19の峰々、蒼山から来る水は井戸を満たし、用水路をとうとうと流れています。
また、人々は山で採れる薬草で病気を治し、キノコなどの山の恵みを味わっています。蒼山は大理石の産地でもあり、大理石画や家具、花器などに使われています。
自然の恵みと穏やかな気候のせいか、大理の人たちはのんびりとしています。際だった観光スポットはありませんがついつい旅人が長居してしまう、居心地のいい街としても知られています。

Information

大理石の絵画

大理の特産品は、何と言っても大理石。蒼山の3000m付近から採掘されます。多くは家具や内装に使われますが、大理石の絵画はその最も芸術的な加工法です。大理石をかたまりで買い付け、薄い板に切り分けます。切ってみて初めて自分の買い物が妥当だったのかがわかる、まさにギャンブルのような商売です。
切り出した大理石は、その模様が命。石の模様を山や川、花、人、動物などさまざまなモチーフに見立て、それを額装したり、屏風(びょうぶ)やイスの背もたれにあしらったりして楽しむのです。想像力を働かせて絵柄に見立てる部分を決めたら、模様を削らないように何段階にも分けてやすりをかけます。
職人になるには技術はもちろん、芸術的なセンスや想像力、物語のどのシーンに見立てられるかを見極める文学の知識も要求されます。大理石の絵画の表現は想像力次第で無限なのです。

豌豆粉(えんどうふん)

大理で昔から女性に人気のあるおやつが、豌豆粉です。細長くスライスしたエンドウ豆とビーフン、千切り大根、豆腐などを一緒に盛り付けピーナツ粉、トウガラシみそ、パパイヤ酢など、好みの調味料で味付けしてもらうのです。
豌豆粉はほかの街でも見られますが、組み合わせる食材や調味料がこれだけ豊富なのは、大理独特のスタイル。主役の豆粉は、エンドウ豆をひいた粉に水を加えてこし、熱を加えながらとろみが出るまでゆっくりとかき混ぜます。これを一晩置いておけば、自然に固まり、黄色いプリンのようになります。
エンドウ豆は、解熱効果や利尿作用があり、お肌をきれいにしてくれるんだとか。また、油っぽい料理が多い中、エンドウ粉はダイエットの強い味方。屋台で売られているほか、豆粉の看板を掲げた食堂もあちこちに見られます。
豌豆粉は、昔から大理の女性たちに愛されてきた、人気メニューなのです。

ぺー族の結婚式

ぺー族は結婚式において、さまざまなしきたりを守っています。まず嫁入りの作法。「背負婚」といって、花婿が花嫁を背負って式場まで運びます。嫁入り道具を詰めた大きな箱を、家族や親せきが背負ってあとに続きます。式場に着くまでの間、花嫁はサングラスをする習慣があります。いわれは魔よけ説、照れ隠し説、泣きはらした目を隠す説などがあります。胸には魔よけの印として、鏡を下げます。式場の入り口には火鉢が置かれ、それを2人でまたぐと新しい家庭は、火のように勢いよく栄えるといわれています。
またこの日、花嫁は参列者につねられても文句が言えません。ぺー族の言葉で「つねる」と「親」の発音が近いので「末永く幸せに」という気持ちを込めてつねるのです。そして祝い酒に必ず入れるのが唐辛子。これも「辛」と「親」の発音が近いため、「仲良く年を重ねていこうね」という気持ちを込めて杯を交わすのです。儀式が済んだら、ぺー族伝統の歌と踊りが、三日三晩続きます。

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