これまでの街歩き

大理/ 中国

2010年3月4日(木) 初回放送

語り:風吹ジュン

撮影時期:2010年1月

街の「公園」

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メインストリートの復興路、そして平等路を経て、公園「玉洱園」にやってきました。ここは、大理の人たちの憩いの場。池のある庭園や、子どものための遊具広場、お年寄りのためのゲートボール場、マージャン広場などがあり、朝早くから人が集まっています。
変わった音色にひかれて出会ったのは、飲料のアルミ缶で手作りした笛を売るおじさんです。毎週末、公園でひなたぼっこをしながら笛を作り、実演販売しているのです。値段は格安で、子どもは5角(約7円)、大人は1元(約15円)。子どもたちにはついついタダで配ってしまうことも多いとか…。「北国の春」「カチューシャ」「ハッピーバースデイ」などの外国の曲や、猫や鳥の鳴きまねなどレパートリーは幅広く、今も増え続けています。
公園を訪れる人は、おじさんの新曲を聞くのが楽しみなんだとか。ほかに伝統音楽や踊りのグループもよく練習しているこの公園は、大理の人の音楽好きを実感することができる場所です。

街の「城壁」

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住宅街を抜けて、南門から続く城壁の前にやってきました。ぺー族の建てた大理国は、10世紀から13世紀半ばまで繁栄。その後、モンゴルのフビライ・ハンに征服、破壊されました。100年ほど放置され、明の時代に城壁が新たにつくられましたが、政権争いや戦争、文化大革命など歴史の中で破壊と修復を繰り返し、今ある城壁は30年ほど前に再建されたものです。
今回城壁で出会ったのは、蒼山を描き続けている画家。19の峰が連なる山脈、蒼山が雪化粧する冬、さまざまな草花に彩られる春から秋…。高さ8mの城壁に登れば、街に居ながらにして蒼山の季節ごとの美しさを楽しむことができるのだとか。
また1日の中でも、時間の移り変わりとともに山はさまざまな表情を見せるので、何十年描き続けても一枚たりとて同じ絵にはならないのだそうです。大理の人々はきっと昔から、城壁から街を見渡し、山を眺めてはさまざまな思いを巡らせてきたのですね。

街の「若者」

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メインストリートの復興路に隣接した「文化宮」の一角に、「大理市蒼洱芸術団」の練習場と宿舎があります。大理に多く住む少数民族・ペー族の伝統音楽や踊りを演じる歌舞団です。メンバーの多くは20代。大理周辺の小さな町や村から出てきたペー族の若者たちです。
相部屋の寮生活をしながら、地元のお年寄りや芸術団の先生から楽器や歌を習い、遠くは北京まで公演に出かけています。自由時間も限られていますが、みんな楽しそう。ペー族は音楽や踊りが大好きで、十数年前までは「歌垣」で愛の告白をする習慣が残っていました。男女が即興で歌い交わし、愛を告白するのです。春には恋歌を競い合う祭りも行われていました。
「芸術団」の若いメンバーたちは、無くなりかけているそんな伝統文化をよみがえらせ、伝えていこうとする強い気持ちを持っています。女の子が歌ってくれた恋歌も、そんな伝統曲のひとつなのです。

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