これまでの街歩き

アルクマール/ オランダ

2010年7月4日(日) 初回放送

語り:松田洋治

撮影時期:2010年4月

世界地図

地図

場所

運河が取り囲む歴史ある街、アルクマール。アムステルダムから北へ約50kmほどの場所です。
10世紀ごろまで、漁港があるだけだったこの街は、13世紀から北オランダ地方の交易の中心地として栄えてきました。北オランダのほとんどの土地は湿地や干潟を灌漑(かんがい)してつくられたもので、海抜は0m以下。この街も同様で、長い年月をかけた治水事業によって成り立っています。そして治水のために張り巡らされた運河が、地域の産物の運搬を便利にし、多くの物品がこの街に集まるようになったのです。
また、オランダで最も歴史のあるチーズ市が開かれていることでも有名。現在の人口はおよそ10万ほどです。街中を流れる運河では時々、運河クルーズのボートやカヌーを楽しんでいる人々とすれ違います。古い街並みと運河、チーズ市、風車の観光地として年間100万人を超える人々が訪れています。チーズ市が開かれている4月から9月にかけては特に活気に満ちあふれます。

Information

アルクマールの歴史

アルクマール一帯は、もともとは湖や干潟が広がる湿地帯でした。北オランダ地方のほとんどが海抜0m以下の低地です。国の正式名称である“ネーデルランド(低い土地)”という名前はこれに由来します。
13世紀以降、干拓事業が進み、1世紀ごとに350平方キロメートルの割合で国土を広げてきたといわれています。15世紀には風車が登場。風車は風の力で水車を回し低いところにたまった水をくみあげ、運河に排水しました。こうして国土はみるみる広がり、肥沃(ひよく)な大地が生まれていきました。最盛期には1万もの風車がオランダ国内にありました。

チーズ市

アルクマールのチーズ市は、オランダ各地で開かれているチーズ市の中でも最も長い歴史があります。16世紀末に初めてチーズ取り引きのルールが制定されたといわれていますが、14世紀にはアルクマールにチーズ計量用のはかりがあったことがわかっています。以降、20世紀初めまではチーズの取り引きが主要産業でした。当時はなんと、1日に300tものチーズが取り引きされていました。取り引きが深夜まで続くこともあったのだとか。現在、市は春から秋の間の金曜日に開かれています。
チーズ市が開かれる広場には、チーズの「計量所」があります。14世紀に建てられたゴシック様式の建物で礼拝堂として建てられましたが、1582年から計量所として使われるようになったのです。現在、その2階にはオランダチーズ博物館(Hollands Kaasmuseum)があり、オランダのチーズやバター作りの道具が展示されています。

“島”の農業

オランダは日本の九州ほどの面積しかないにもかかわらず、アメリカに次ぐ、世界第2位の農産物輸出国です。かつては水面下だった土地を灌漑事業で開拓し、耕土を広げてきました。畑に船で行くことも多いんです!島のように広がっている畑は、多いときには1500島を超え、“千島の国”(Het Rijk van de duizend eilanden)と呼ばれていました。
1887年、アルクマール近郊で野菜のオークションが始まりました。買い手に価格を競わせることで、農家の収入を増やそうとしたのです。野菜オークションの博物館では、当時の様子を再現で見ることができます。現代でもコンピューターを導入してオークションは続いています。
現在のオランダの農業は、古くからのノウハウにハイテク機器を導入したり、有機農業を取り入れたりと、生産量よりも質にこだわっています。オランダ経済の10%ほどを農業が支えています。

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