これまでの街歩き

アルクマール/ オランダ

2010年7月4日(日) 初回放送

語り:松田洋治

撮影時期:2010年4月

街の「木靴屋さん」

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街の中心へ向かって歩いていると、大きな黄色い木靴を看板代わりに掲げている店がありました。みやげもの屋さんかと思いましたが、ほかの品ぞろえはホウキやブラシ、ロープなど。
ここは雑貨屋さん?みやげもの屋さん?店の女主人に話を聞くと、古くから使われている生活用品を売る“古いもの”屋さんとのこと。でも、実際には使われない“骨董(こっとう)品”ではなく、今も使われている“生活用品”ばかりなのだとか。木靴は今も使われているのかな…?
と思ったら、木靴を買いに来たお客さんが。庭仕事や畑仕事の時には木靴をしょっちゅう履くのだそうです。木靴は、夏は涼しく、冬は暖かい。足元が悪くても、重いものが足の上に落ちても、硬い木靴が保護してくれるので、とても重宝するのだとか。気になる履き心地ですが足に汗をかかず、さわやかなのだそうです。600年前の木靴も、このあたりで出土しています。

街の「チーズ屋さん」

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商店街でそぞろ歩きを続けていると、また変わった看板が目に入ってきました。大型のたらいほどのオレンジ色の丸い物。チーズ屋さんです。実は、アルクマールはチーズの産地として有名。もともと湿地帯だったため、このあたりの牧草地は水に恵まれ、土地は肥えています。そこに良質な牧草が育ち、それを餌にする牛の乳からこの地域が誇るチーズができるのです。
チーズは熟成を重ね、歳月を経て味が濃厚になります。1年半も経つと、硬くなりますが、この硬くなったチーズを“こぶチーズ”と呼び、食通の間では「ワインに最適」と好まれています。アルクマール産の年代物のチーズは“オールド・アルクマール”という地元っ子自慢のブランドとなっています。

街の「ドラゴンボート」

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運河の多い住宅街を歩いていると、どこからか太鼓の音が。船首に竜の頭を飾った20人乗りのボートが太鼓を響かせながら、パドルで水面を切っていました。鼓手が打ち鳴らす太鼓に合わせ、こぎ手が一糸乱れずパドルをこいでいく様子はなかなか圧巻。
これはドラゴンボートといって、スピードを競う競技用のボートです。起源は紀元前の中国にまでさかのぼり、ヨーロッパでは1990年代にオランダで初めて紹介されました。現在では、ヨーロッパでも人気が高まり、2010年にはヨーロッパ選手権がオランダで開催。
出会ったボートはアルクマールのクラブチーム、“ユナイテッド・ドラゴンズ”の人たち。年代も性別もさまざま。若い女性も60代の男性もいます。筋骨隆々の鍛え上げられた体が黄色いユニフォームに包まれています。みな、仕事の合間の楽しみを運河の上に求めて集まってきたのです。身近に運河があり、趣味を大切にするアルクマールの人々ならではスポーツかもしれません。

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