これまでの街歩き

アメリカ・“楽園”の街を歩く
キーウェスト/ アメリカ

2011年6月22日(水) 初回放送

語り:矢崎 滋

撮影時期:2011年4月

世界地図

地図

場所

フロリダ州キーウェストは人口2万5000の小さな島です。ハワイとアラスカを除くアメリカ合衆国本土の最南端であり、大陸とは国道1号線のセブンマイルブリッジで結ばれています。年間400万人以上の旅行客が訪れるリゾート地で、南国特有の気候と、人々の自由でおおらかな空気から“America’s Paradise(アメリカの楽園)”と呼ばれています。メキシコ湾と大西洋を結ぶフロリダ海峡のほぼ中央に位置しており、古くから船の補給基地・寄港地として発展してきました。19世紀初頭までスペインの統治下にあり、カリブの国々の影響を強く受けました。そのため、アメリカの街でありながら独特な風土を持っています。
1912年にはセブンマイルブリッジが架けられ、フロリダからの鉄道が開通。パンナム航空発祥の地としても知られています。ひとたび訪れて、島の魅力にとりつかれてしまった人も多く、文豪アーネスト・ヘミングウェイなど多くの作家や芸術家にインスピレーションを与えてきました。

Information

アーネスト・ヘミングウェイ

“アメリカの楽園”キーウェストの魅力にとりつかれた一人が、アーネスト・ヘミングウェイです。『武器よさらば』『老人と海』などの作品で知られる文豪ですが、実は、1931年から9年間ほどこの島に住んでいました。彼は相手が誰であっても気にしない島のおおらかさを楽しみ、大洋で大物を狙う荒々しい釣りにのめり込みました。そして、世界中を旅して回った経験と、この島での生活を融合させて作品を執筆していきました。
ヘミングウェイの家は今も残されていて、その楽園生活の一端を見ることができます。世界中から集めて来た調度品、2万ドルをかけて作った島で初めてのプール。中でも、彼が愛情を注いだのが、船乗りから譲り受けた「6本指の猫」です。普通の猫より前足の指が1本多く、ネズミを捕るのが得意。彼はこの猫を幸運のシンボルと考えかわいがりました。今でもその猫の子孫が、彼の家で暮らしています。島の人たちにとっても、そんなヘミングウェイは憧れの人物です。毎年、誕生日の7月21日になると、1週間ほど、ヘミングウェイ祭が催されます。彼の行きつけだったバーではそっくりさんコンテストが行なわれ大変な盛り上がりを見せます。

キーライム・パイ

キーウェストの名物の一つに「キーライム・パイ」があります。これは、キーライムと呼ばれる、普通のライムの半分くらいの大きさの柑橘類の絞り汁を使ったパイです。キーライムは、もともと東南アジア原産で、大航海時代の船乗りたちの手によってキー諸島に持ち込まれたと言われています。船の上で、ビタミン不足を補うために重宝されていたそうです。
味も香りも、普通のライムより強いのが特徴です。キーライム・パイは、キーウェストの人たちにとって、おふくろの味なのだそう。材料は、卵の黄身、練乳、パイ生地、そして、キーライム・ジュースの4つだけ。家によって、その配合の分量や焼き加減などが微妙に違い、味に特色が出るのだそうです。

バケーション・ホーム

島の人口2万5000に対し、年間の旅行客がなんと400万人以上もやって来るというキーウェストには長期滞在型のお客さんに合わせた宿泊施設、「バケーション・ホーム」があります。島にはこのタイプの物件が3500もあり、長期滞在ならば、ホテルよりも断然お得なのだとか。物件にはお客さんの細かなニーズに対応してさまざまなタイプがあり、例えば、最高ランクの物件には、ダイニングルームが2つ、ベッドルームが6つというものも。敷地内にはゲストハウスも建てられており、これなら家族だけでなく親類縁者一同揃って利用することができます。静かでこじんまりとしたものがよければ、砂浜に建てられた“海まで徒歩0分”という物件。ちょっと変わり種では、「ヘブンリー・ゼン(禅)」と名付けられた、庭がジャングルのように緑豊かなものも。この物件ではオプションとして、ヨガの先生を呼んで、レッスンを受けることもできます。

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