これまでの街歩き

アントワープ/ ベルギー

2011年11月17日(木) 初回放送

語り:中嶋朋子

撮影時期:2011年9月

世界地図

地図

場所

 アントワープはベルギーの首都ブリュッセルから北へ45km、電車で40分の距離にあります。人口はおよそ50万、ベルギー第2の都市です。
 中世からスヘルデ川の水運を利用した交易と毛織物産業によって栄え、金融や貿易の中心地になりました。また、インドからヨーロッパに運ばれたダイヤモンド原石の多くがアントワープ港で荷揚げされていたため、ダイヤモンド産業も盛んになり、16世紀には「黄金のアントワープ時代」と呼ばれるほどに繁栄を極めました。
 現在でもアントワープ港はヨーロッパ第2の荷揚げ量を誇り、活気にあふれています。芸術の街としても知られ、バロック時代のヨーロッパを代表する画家ルーベンスもアントワープにアトリエを構えていました。ダイヤモンド、バロック芸術、ファッションの街として世界各地から訪れる観光客の人気を集めています。日本人には特に、児童文学「フランダースの犬」の舞台としても知られています。

Information

フランダースの犬

 アントワープは、児童文学の名作「フランダースの犬」の舞台となった街です。この物語は1872年にイギリス人作家ウィーダによって書かれました。日本語にも翻訳され、アニメ化されたテレビ番組は大人気となりました。でも、実はご当地ベルギーでは、悲劇的な内容が受け入れられないと見なされ、出版さえされていませんでした。やがて、大勢の日本人観光客が物語の舞台となったアントワープを訪ねてくるようになります。その人気ぶりを見て、アントワープ市の観光局が物語の少年ネロと愛犬パトラッシュの銅像を建て、更には本も出版、「フランダースの犬」はようやく地元でも知られるようになったのです。現在では、ネロが最期に見たノートルダム大聖堂の絵画(ルーベンス作)や、ネロがパトラッシュと一緒に牛乳を売りにきたミルク市場の跡地なども見ることができます。

ダイヤモンド博物館

 アントワープには世界中からダイヤモンドが集まってきます。原石では世界のおよそ80%、研磨されたものではおよそ50%の取り引きがこの街で行われているのです。職人の研磨技術も巧みで、18世紀にアントワープの研磨師が考案した、ダイヤモンドの輝きを最も美しく引き立たせるカット技法には、「アントワープカット」の名が冠されています。
 アントワープ州立ダイヤモンド博物館では、ダイヤモンドの歴史の展示や研磨作業の実演、歴史的なダイヤモンド装飾品のコレクションなどを見ることができます。中でもナポレオンの妻、マリー・ルイーズがベルギーの貴族に贈ったジュエリーは、目玉の一つです。

ハーバークルーズ

 今も昔もアントワープの産業を支えているのは水運です。アントワープ港が完成したのは13世紀のこと。アントワープの黄金時代と称される16世紀には、世界一の港と呼ばれていました。現在の港の面積はおよそ1万4000ヘクタールで、パリの街よりも広く、ヨーロッパで2番目に大きな港です。コンテナターミナルは全部で4つあり、年間1400万個のコンテナを取り扱っています。また、石油化学コンビナートの規模も世界屈指。アメリカのヒューストンに次いで世界で2番目に多くの石油化学企業が集まっています。
 そんなアントワープ港を水上から見られるのがハーバークルーズ。3時間かけて石油化学コンビナートやコンテナターミナルを巡ります。コンテナの積み下ろしの様子を間近で見学でき、タイミングが合えば長さ300m以上の世界一大きなコンテナ船を見ることもできます。地元の人にもとても人気のツアーです。

※NHKサイトを離れます
ページトップ