これまでの街歩き

アントワープ/ ベルギー

2011年11月17日(木) 初回放送

語り:中嶋朋子

撮影時期:2011年9月

街の「伝説の巨人の手」

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 アントワープ中央駅から西へ。街のメインストリートで見つけたのは巨大な手の石像。観光客がそこに座って記念撮影をしています。地元の人に聞くと、これは「伝説の巨人の手」だといいます。かつてスヘルデ川にはアンティフォーンという巨人が住んでいて、航行する船から通行料を徴収していたそうです。あるとき、一人の船長が支払いを拒否すると、巨人はその船長の手を切って川に投げました。怒った市民は巨人退治に立ち上がり、ブラボーという名の兵士が巨人を倒し、その手を切って川に投げたのだそうです…。これはアントワープ市民なら誰もが知っている伝説だそうで、市庁舎の前の広場には、兵士ブラボーが巨人の手を投げる銅像も建てられています。
 アントワープという地名もこの伝説に由来するという説があります。アント(手)とワープ(投げる)で、アントワープ。巨人の手はアントワープのシンボルなのです。

街の「名物フライドポテト」

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 街中でよく見かける、大きな三角形の袋に入ったフライドポテトの看板。実はこれ、フライドポテト専門店の印。アントワープではフライドポテトが軽食として大人気で、料理の付け合わせとしても定番なのです。フライドポテトはベルギーが発祥とも言われていて、ベルギー人の中には「フレンチフライ」と聞くと「ベルギーフライ」だと怒る人もいるのだとか。フライドポテトにはマヨネーズをつけるのが当たり前、ケチャップなどは邪道なのだそうです。街で出会った若者たちも、マヨネーズをたっぷり付けて食べていました。
 ちなみに、アントワープにはフライドポテトの博物館もあり、70人以上のアーティストによる、フライドポテトにまつわる絵画や彫刻、写真などが展示されています。

街の「向こう岸へのトンネル」

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 夕暮れ時にスヘルデ川のそばを歩いていると、建物の前で自転車を降りて何かを待っている人たちを発見。話を聞くと、エレベーターを待っているといいます。実はこの建物のエレベーターで地下に降りると、スヘルデ川の下を横切るトンネルを通って向こう岸まで行けるのだそうです。エレベーターの中は自転車が10台以上も入れる広さ。乗り合わせた人に聞くと、向こう岸に住んでいて、毎日、通勤の際に利用しているのだとか。トンネルの深さは31m、長さは572mもあります。
 このトンネルができたのは1933年で、エレベーターの横には古い木製のエスカレーターもありました。エレベーターの建物を出てスヘルデ川の岸辺へ。見渡す限り、その大きな川には橋が架かっていません。どうしてでしょうか?アントワープは水運で栄えた街だけに大きな船がたくさん通ります。船の航行を妨げる橋よりも、トンネルの方が合理的だったのでしょう。港町アントワープならではの光景ですね。

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