世界ふれあい街歩き

場所

　アルベロベッロは、イタリア共和国プーリア州バーリ県にあります。人口約1万。街の名前は、「美しい木」という意味です。主な産業は農業、そして観光です。夏場は多くの観光客でにぎわいます。
　この街の観光地としての魅力は、なんといっても「トゥルッリ」という建物。トゥルッリは真っ白な壁に、とんがり帽子のような屋根を持つ、ちょっと不思議で独特な形をしています。トゥルッリは、特に旧市街の東西に密集しています。西側のリオーネ・モンティ地区はお土産物屋さんなどが連なるにぎやかな商業地区。東側のアイア・ピッコラ地区では、今も多くのトゥルッリが住居として使われています。この美しい建物群は1996年、世界文化遺産に登録されました。
　また、ここは今も住民が暮らす、「生きた世界遺産」でもあります。それだけでなく、トゥルッリは貸別荘やホテルとしても活用されています。同じく世界文化遺産の白川郷がある岐阜県白川村とは姉妹都市。豊かな伝統と美しい街並みは、世界中の人々を魅了してやみません。

アルベロベッロの歴史

　アルベロベッロの歴史を紹介するために、まずは、トゥルッリがどうやって造られているかを説明します。トゥルッリは昔、モルタルなどの接着材を使わずにそのまま石を組み上げて建てられていました。簡単に崩せるようにしておくためです。なぜそんな必要があったのでしょうか。
　16世紀から18世紀にかけて、アルベロベッロ周辺はナポリ王国の支配下にありました。そのため地元の領主はナポリの王様に家の数や大きさに応じて税金を払わなければいけませんでした。そこで、アルベロベッロの当時の領主、ジャンジローラモ2世は、できるだけ家の数を少なく見せようとしました。そのため、住民たちには「すぐに壊せる家」しか建てさせなかったのです。住民はナポリの役人が来るたびにトゥルッリを崩さなければならず、とても苦しい思いをしたそうです。しかし、そんな不幸な過去を乗り越え、今のトゥルッリは、この街にとって貴重な観光資源であり、また貸し別荘としても利用されています。

伝統療法

　アルベロベッロの有名人、マルタおばあちゃん。この地で生まれ、暮らし続けて84年。アルベロベッロの伝統療法を引き継いできました。その中から3つを紹介しましょう。
　まずは「ひざの痛み」の治療。使うのは、なんと「キャベツ」。普通に八百屋で売っているもので構いません。キャベツの葉をまんべんなくたたいてそれを膝に貼り付けます。朝と晩に葉を交換すれば3～4日で効果が出るそうです。
　次は「胸焼け」の治療。これには「干したそら豆」が効くそうで干したそら豆を2つ、口の中に入れます。ただし、かみ砕いてはいけません。ずっとなめ続けてそら豆が溶けてなくなれば、胸焼けも治るそうです。
　最後は「イボ」の治療。使うのは、なんの変哲もない「毛糸」。ただし、どんな毛糸でもいいわけではなく、羊の毛に限るそうです。患者のイボの数を数えて、それと同じ数だけ毛糸の結び目を作り、どこか土の中に埋めます。場所は遠くても近くても構いませんが、誰も知らない場所でなければいけません。また、糸を埋めるのはなるべく湿っている土の中で糸を腐りやすくするために毛糸が腐るにつれてイボが治るんだそうです。マルタおばあちゃんいわく「日本でも効果があるか分からないけど、試してみて」。
※ あくまでこの地域に伝わる民間療法で、効果を保証するものではありません

街歩きしながら手軽に楽しめるご当地の味を、厳選してご紹介！

　アルベロベッロのストリートフード、ベスト3を決めてくれたのは、地元の旅行会社に勤務する、アントネッラさん。

肉巻き料理「ボンベッテ」

アルベロベッロがあるプーリア州の、名物料理です！ ソーセージなどをバラ肉で巻いて串に刺し、じっくり焼きます。出来上がりは、肉団子のようなまん丸な形。肉を肉で巻いているだけあって重厚な味わいです。アルベロベッロに行ったら、ぜひご賞味あれ！

スナック＆ゴー

これはなんと、チーズのテイクアウト！もともとアルベロベッロとその周辺は乳製品が特産なので、いろいろな種類のチーズを豊富に取りそろえることができるんです。街のチーズ屋で好きなチーズ(小さめサイズ)を複数選んで小箱に詰め、お持ち帰り。おやつ感覚ですぐに食べ歩きできますよ。

パニーノ・パスクワリーノ

この街のどのお店でも、「パスクワリーノ」と言えば、このパニーノが出てきます。今から60年ほど前、パスクワーレさんというこの街の食料品店店主が生み出したことからこの名前で呼ばれるようになりました。材料は、サラミとチーズ、ニンジンなど酢漬けの野菜に、ケッパー。それにツナを入れます。海と陸、両方の食材を入れるところが独特です。このパニーノは、この街でしか食べられません！