2015年12月8日(火) 初回放送
語り:中嶋朋子
撮影時期:2015年10月
インチョン広域市の人口は290万。ソウル、プサンに次いで韓国で3番目です。インチョン国際空港とインチョン港を擁する、空と海の玄関口です。空港近くのソンド(松島)地区にある経済特区では、政府が外資誘致を積極的に行っています。国際的な金融・経済のハブをめざして、斬新なデザインの高層ビル、コンサートホールや大学が次々と建てられています。完成予定は2020年です。
インチョン港周辺にある、異国情緒豊かな中華街や旧日本人居留地は、いま再び活気を取り戻しています。教会やレンガ倉庫があちこちに残り、日本で言えば横浜のような雰囲気です。
人情豊かな下町情緒あふれる旧市街の東部では、朝夕にご近所同士が集まって、キムチなどの手作り総菜をつまみながら、世間話に花を咲かせています。新旧さまざまな顔をもつ街です。
ソウルから西へ40kmに位置するインチョンは、1883年プサン(釜山)、ウォンサン(元山)に次ぎ、朝鮮半島で3番目に港が開かれました。開港後、日本や中国、欧米からの人々がインチョンに移り住み、外国人の居留地(租界)が造られました。今も西洋建築様式の教会、日本長屋、中国風の民家が残っていて、東洋と西洋の文化が混在する異国情緒あふれる街です。
港からは新しい食文化も入ってきました。いまや“国民食”の「ジャージャー麺」は山東省出身の中国人が持ち込み、インチョンで韓国風にアレンジされて国中に広がったのです。
2001年に国際空港がオープンして以降、インチョンはさらなる発展を続けています。空港からわずか15分の経済特区・ソンド(松島)は60階以上の超高層ビルが立ち並び、「韓国のドバイ」と呼ばれています。現在、インチョンで最も急速な変化を遂げているエリアです。
街歩きしながら手軽に楽しめるご当地の味を、厳選してご紹介!
インチョンでは、港町ならではの新鮮な海の幸や、珍しい、また、なつかしいお菓子を味わうことが出来ます。
案内してくれるのは、現代文学を専攻している仲良し女子大生・チェさんとソヌさん。インチョンで暮らし始めたばかりの2人がご当地グルメを紹介してくれました。
ワタリガニのしょうゆ漬け
港町ならではの逸品。しょうゆに、リンゴ、ナシ、玉ネギ、ナツメ、しょうが、みそ、昆布、桑の木、干しタラ、にんにくなど約20種類の食材を入れ、よく煮込みます。そのしょうゆにワタリガニを生のまま10日間漬け込み、じっくり味をしみ込ませれば、出来上がり。お酒のおつまみにもぴったりです。これを頼めば、キムチや豆の煮つけなど、5~6種類の副菜もついてきます。韓国ならではですね。
韓国風の雷おこし
昔はどの家庭でも、おばあちゃんが作ってくれたという素朴な伝統菓子。温めた水あめの中に炒った小麦粉の粒を入れ、水アメをまんべんなく絡めます。出来上がったら平らにして、固まる前に素早くカット。サクサクと柔らかい食感で、日本の雷おこしより食べやすいかも。小腹が空いたときに最適なおやつです。豆やゴマなど、いろいろな種類が売られています。
だましパン
中国から伝わった特大サイズのパンです。たっぷりの砂糖を生地に包み込んで伸ばし、釜で1つずつ焼きます。丸く膨れ上がったら出来上がり。たっぷりの具が入っているのを期待して、パンを割ると・・・中は空っぽ。そこがネーミングの由来です。
街からちょっと足をのばして、イチ押しの観光スポットを訪ねます!
チェブ(済扶)島は、インチョンの中心部から車で南へ約1時間半。1日2回の干潮時に、チェブ島と韓国本島とをつなぐ「海の道」が現れ、車でも歩いてでも渡ることが出来ます。
夏は海水浴も楽しめますが、年間通して、観光客に人気なのは、潮干狩りと干潟漁。地元の漁師さんが案内してくれます。岸辺から歩いて20~30分ほどの沖合に定置網が張ってあり、そこにかかった魚を集めます。少人数であれば、岸辺から干潟専用トラクターで沖合まで連れて行ってくれることもあり、ちょっとした遊園地気分を味わえます。
普段は海の中にある奇岩の数々が姿を現し、どこかの惑星にいるかのような気分に。訪れたとき、沖合の定置網にはアナゴ、アジなどさまざまな魚がかかっていました。印象的だったのは、男性の背丈より高い位置まで、小魚がいっぱいかかっていたこと。潮が引くときに逃げようとして頭がひっかかってしまったそうです。2メートル以上の干満を実感できます。
出会ったのは、中学校の同窓生という50代のグループ。手作りのトウモロコシのマッコリ持参で、中学生に戻ったかのように元気にはしゃいでいました。こんな同窓会も、すてきですね。