これまでの街歩き

パツクアロ/ メキシコ

2010年2月25日(木) 初回放送

語り:中嶋朋子

撮影時期:2009年12月

街の「“駄菓子屋”さん」

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朝、そろそろお店も開く時間かなと思いながら歩いていると、扉のカギを開けようとしている男性とばったり遭遇。聞けば、この街で35年、ジュースやクッキーを扱う“駄菓子屋さん”を営んでいるのだそうです。
「いろんな物があるよ」と誘われ入ってみると、壁に飾られた昔の街の写真がいっぱい。学校や公園など…。父親が撮って残してくれたものなのだとか。「古い街の写真を見ているうちに、だんだん街が好きになってきたんだ」と教えてくれました。お店の壁に飾っているのは、お菓子を買いに来た人たちにも、昔の街や故人を思い出して欲しいから。
街のすべてが大好きと語る店主の顔には、ステキな笑顔が輝いていました。時の流れを大切に暮らしているのでしょうね。

街の「ギター親子」

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午後の路地を歩いていると、どこからか音楽が聞こえてきました。音をたどると、一軒のお店に…。のぞいてみると、店先で髪型をバッチリきめた親子が、向かい合ってギターを弾いています。お父さんによれば、8歳になる息子にせがまれて毎日ギターを教えているのだとか。
「お父さんが歌う時に、一緒にギターを弾きたいんだ」と答える息子さんに、一曲お願いしてみました。父親の伴奏に合わせて歌ってくれたのは「褐色の君への口づけ」というメキシコに伝わる民謡。
とても情熱的な歌詞にあっけにとられていると、店の裏にある家に自慢のものがあると案内されました。するとそこには壁一面に昔の民謡歌手の写真がはられています。世代は違っても、2人があこがれる歌手は同じ人…。本当に仲の良い親子でした。

街の「代理親」

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そろそろ夕暮れ時を迎える時間。路地を歩いていると、一組の先住民族の家族と、その家族を出迎える女性に出会いました。声をかけてみると「血がつながっていない家族が訪ねるのを待っていたのだ」とうれしそうに答えてくれました。その女性は20年前、先住民族である2人が結婚するときに“代理親”の契りを結んだのだそうです。
最近はご主人を亡くした女性を気遣って、しばしば“孫”を連れて遊びにくるという先住民族の“子供”たち。「代理親というのは二人目の親と同じ意味。これは僕たちに伝えられた昔からの習慣です」と。お母さんは、これもスペインから来た宣教師・キロガ神父が残した関係なのよ、と教えて下さいました。
深いきずなで結ばれた「家族」に出会い、心が温まりました。

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