これまでの街歩き

パナマ/ パナマ共和国

2010年6月27日(日) 初回放送

語り:中村獅童

撮影時期:2010年4月

街の「船の家」

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半島にある旧市街で、海に出ようと歩いていると石の壁を発見。この石壁を見ていると、近くの集合住宅のような建物から「おい」と呼ぶ声が。声の主は、筋肉モリモリの大柄なお兄さんと、小柄なお兄さんの2人。この石壁は「虎の手」と呼ばれた壁で、昔、内側には金持ちが、外側には貧困層が住んでいたと教えてくれました。この壁は海賊などの襲撃から街を守るためのもので、当時は午後6時以降、出入りが禁じられていたんだとか。
突然、大きなお兄さんが腕にいれた漢字の「龍」のタトゥーを見せてくれました。ちょっとこわい見た目とは違ってとても気さくで、「俺たちは海賊の子孫だよ!」と言っていました。一方、「家の外観が変わっているよ」と、小さいお兄さんが教えてくれました。離れて見てみると、なんと家が「船」の形をしていたのです!とってもユニーク!
ちゃんと船首と船尾があって、まさに船そのものといった感じです。海賊船に住む心優しい「海賊」と出会いました。

街の「おまわりさん」

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街を歩いていると、まるでミニ戦車のような乗り物に乗ったおまわりさんや、自転車に乗ってさっそうと走っているおまわりさんを見かけます。
パナマの警察官は、いろんな乗り物に乗っているんですね。午後、半島の突端付近を歩いていると、広場で「アツアツの“チチェメ”だよ!」という声が…!?振り返ってみると、屋台の周りにたくさんのおまわりさんが集まっていました。
彼らが飲んでいたのは、「チチェメ」というパナマの代表的な飲み物。力こぶを見せながら、「飲むと強くなるんだ」と教えてくれました。だから、おまわりさんがたくさん飲んでいるんですね。
そのおまわりさんが「パナマとは“たくさん”という意味だ」と教えてくれました。たくさんの木々、魚やチョウ、美女、海岸、そして友だち…。パナマにある“たくさん”のものを口々に自慢する彼らの表情からは、本当に「この街が大好き!」ということが伝わってきました。人種のるつぼであるパナマで、“たくさん”のおまわりさんに教えてもらった街の名前の意味でした。

街の「十字架のある長屋」

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旧市街の路地で、古いけど趣のある入口が並んだ一角を発見。まだ明るいのに街灯がついていて、不思議な感じ。入口のひとつから女の子が顏を出していました。そこは袋小路になった長屋になっていて、奥で手招きをしているおじいさんがいました。軒先には洗濯物がいっぱい。何家族も暮らしているようです。中に入ると、「十字架を見ていってくれ」と、おじいさん。突き当たりの奥の壁には、37年前におじいさんが作ったという十字架が掲げられていました。十字架の隣には、寄り添うように鳥の絵も描かれています。
どうしてここに十字架や鳥の絵を?と聞くと、「この長屋は昔、争いごとが絶えなかったから」と教えてくれました。みんなの平和を願う気持ちから作ったんですね。「それ以来、すっかり平和になったよ」と話すおじいさんの顏は何だかうれしそう。十字架は最初は木で作り、雨で朽ちたのでアルミにしたのだとか。鳥は精霊なのだそうです。
最後におじいさんが「46年住むこの長屋で暮らし、ここで死んでいくだろう。それで十分だ」と話してくれました。パナマの人々の心の豊かさを見た気がしました。

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