これまでの街歩き

アルプスが見える街Ⅲ
ルガーノ/ スイス

2010年9月19日(日) 初回放送

語り:中嶋朋子

撮影時期:2010年6月

街の「郵便局」

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中心街を歩いていると、ギリシャ神殿風の柱を持つ石造りの立派な建物を発見。入り口には郵便局と書いてあります。入ってみると、ショーケースがいっぱい。本、おもちゃ、お菓子など、まるでコンビニです。手紙を出しに来たついでに買い物ができるんですね。この建物、少なくとも19世紀後半から郵便局として使われているのだとか。
本業の切手コーナーをのぞくと、切手の絵柄に、赤い衣装の女の子が…。そう、アルプスの少女ハイジ!さすがスイス!でもよく見ると、スイスという文字はなく、代わりに「Helvetia(ヘルヴェティア)」と書いてあります。局員さんにうかがうと、このHelvetiaとは、ラテン語でスイスを表す言葉。なぜ、ふだんは使用しないラテン語で国名を表記するのか?理由は、スイスにはドイツ語、フランス語、イタリア語、ロマンシュ語と“国語”が4つもありそのどれか1つの言語による表記を国名として採用するわけにはいかないため。だから、ラテン語を使っているのだとか。1つの国に4つの国語…。アルプスが作り出す複雑な地形が、多様な文化をはぐくんだのでしょうか。

街の「電気自動車」

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街の中心から住宅街のほうへ歩いていくと、ルガーノ大学の白亜の校舎が見えてきました。ルガーノのあるティチーノ州は、スイスにおけるイタリア語圏。イタリアとの交流も盛んで、この大学も北イタリアの大学と提携して開校したそうです。
正門前の道は、路上パーキング。よく見ると、車からはコードが伸びていて、道端の機械までつながっています。見上げると標識にはコンセントのマーク。駐車中に充電することのできる電気自動車専用の駐車スペースのようです。利用者にうかがうと、日々の充電は無料で、年間使用料金は100フラン(約8300円)。使うためには充電器のカバーを開ける鍵が必要で、ティチーノ州すべての充電器を使えるそうです。「環境に優しいし、いろいろ快適なことが多い」のだとか。
“快適な暮らし”への欲求こそ、街を進化させる原動力かも知れませんね。

街の「101歳」

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夕方の住宅街で、歴史のありそうな大きな家の前を通りかかりました。広々とした庭ではご婦人が、なが~いテーブルでワイン片手に夕涼み…。話をうかがうと、家は100年ほど前に祖父が建てたもので、当時から暮らす女性も住んでいるとのこと。ということは、齢(よわい)100歳!「どうぞ会ってください」とご招待されました。おばあさんに年齢を尋ねると、「ほとんど101歳」と、張りのある大きな声が響きます。
長生きの秘訣(ひけつ)は、ゆったりと、寛容に、誰ともケンカせずに暮らすことだそうで、「夫をもたなかったことも長生きの処方せんかな」と、笑っていらっしゃいました。この家に暮らすのは、案内してくれた姪御(めいご)さんのご家族、あわせて8名。2歳から101歳までの大家族です。さまざまな世代の家族が一緒に暮らすことも、長生きの秘訣、なのかな?

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