これまでの街歩き

クエンカ/ スペイン

2011年11月10日(木) 初回放送

語り:桂文珍

撮影時期:2011年9月

街の「パンツ屋さん」

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 崖の上の旧市街を目指して歩いていく途中、活気あふれる市場に出ました。観葉植物や洋服が売られるなか、目についたのは下着のパンツ。ここの市場では、なぜかパンツを売っているお店が多いのです。
 その中の一軒、昔ながらの古いタイプのものを売っているおばさんに声をかけてみました。ここで売られているパンツ、サイズがちょっと大きめですが…。「全部、太った女性用だよ!」と元気な答え。長年、この場所で売り続けているおばさんを慕って、常連のお客さんがやってきます。
 「とってもいい常連さんに恵まれているんだよ」
 「それはあんたがいい人だからよ」
 パンツがつなぐおつきあいに、心なごむひとときとなりました。

街の「楽隊」

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 崖の上にある旧市街に入り、急な坂道を行くと、街の中心部マヨール広場に出ました。建物は黄色やオレンジ色に塗られ、こじんまりとした、きれいな広場です。広場の奥には立派な大聖堂がありました。大聖堂に見とれていると、どこからか勇ましい太鼓の音が…。音の聞こえてくる方を見てみると、楽隊が行進してきました。太鼓のリズムに合わせて笛のような楽器を鳴らし、街を練り歩いています。街の人たちも音に誘われて集まってきました。みんな楽しそう!楽隊のリーダーに話を聞いてみると、友達同士で結成しているグループとのこと。街の人たちと音楽を楽しみたくて、たまに集まっては街で演奏しているのだそうです。
 「ちょっと一緒に飲まない?」と誘われてバーの中へ。昼から宴会のようなにぎわいになり、そこでも演奏が始まりました。楽しい演奏に、お客さんたちも一緒に大合唱です。

街の「摩天楼の家」

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 夕方、旧市街を歩いていると、高い建物が立ち並んだ一角に出ました。さながら高層ビル街。そこで、赤ちゃんを連れて階段を上がる若いご夫婦に声をかけました。「このあたりは16世紀にできた“世界一古い摩天楼”と呼ばれている」とのこと。この摩天楼の一角に暮らすというご夫婦のお宅に案内してもらうことになりました。
 家を見せていただいてびっくり! 建物は地面についておらず、両側の建物とつっかえ棒に支えられて、まるで空中に建っているかのよう。旦那さんによると、見た目と違って頑丈で、500年も前の建物なんだそうです。家の中に案内していただいて、またびっくり!寝室は岩をくり抜いてつくられた洞窟のような部屋でした。クエンカにはこうした部屋のある家がたくさんあるのだそうです。
 窓から見える景色は絶景そのもの。奥さんいわく、「エレベーターがなかったり、不便なことはたくさんあるけど、ここの生活が大好き。窓からこんな景色が見られるなんて幸せよ」便利さを求めるのとは違う幸せの形が、この街にはありました。

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