これまでの街歩き

あこがれリゾートの街を行くⅠニューカレドニア島ヌメア/ 仏領ニューカレドニア

2012年4月3日(火) 初回放送

語り:安 めぐみ

撮影時期:2012年1月

街の「船上生活」

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 南フランスの雰囲気が漂うマリーナを歩いているとスケートボードで遊ぶ少年に出会いました。話しかけると、なんとマリーナに停泊する船に住んでいるのだとか。誘われるままに少年の住む船にお邪魔して、洗濯中のお母さんにお話をうかがいました。
 ヌメアのマリーナには多くの船上生活者がいます。ほとんどの人が島で仕事を持ち、子どもたちは学校に通っています。ニューカレドニアはフランスの海外領土です。フランスは、アフリカやカリブ海にも同じような海外領土を持っています。ですから、フランス国籍を持っていれば、それらの土地を船で旅しながら、国内と同じように仕事を得て、子どもを学校に通わせることができるのだそうです。
 スケートボード少年のご家族も、13年前にフランスからニューカレドニアにやって来たのだそう。最初はダイビングを楽しむための旅行だったのが、島の魅力に取りつかれて船を購入し、住み着くことに。週末や長期休暇の際には、住んでいる船でそのまま旅に出るのだそうです。
 「陸に定住してキャリアを選ぶか、世界を旅する自由を選ぶか。それは選択の問題よ」とお母さんは言います。船の生活が大好きだというスケートボード少年も「ゆくゆくは船を買って世界をめぐる生活をしたい」と話してくれました。

街の「インターナショナルなお魚屋さん」

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 マリーナのすぐお隣は魚市場です。漁船が乗り付ける港にあり、水揚げされた魚をすぐに商品として売り出しています。ですから魚の鮮度は折り紙付き。
 活気あふれる市場を歩いていると、お魚屋さんの奥さんに声をかけられました。聞けば、奥さんはオーストラリア系、ご主人は日系なんですって。ご主人の祖父母は日本から移民としてやってきて、ニューカレドニアに住み着いたのだとか。
 ニューカレドニアは移民の島と言われます。19世紀にニッケルの鉱脈が発見されると、世界中から多くの労働者がやって来ました。今でもニッケルは島の経済を支える重要な地下資源です。日本からも明治時代以降、多くの移民が流入しました。おもしろいことに、その影響で街のレストランには必ずしょうゆが置かれており、魚市場では、マグロが大きな切り身で売られていたりします。
 ちなみに、ご夫婦が「きれいな子」と自慢する娘さんは、オリビアさんというお名前。日本的な顔だちのご主人はミッシェルさんというお名前。なんだかインターナショナルです!

街の「絶景ハウス」

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 住宅街を抜けて、見晴らしのいい丘の上に出ました。港を一望する丘からの眺めはまさに絶景!エメラルドグリーンの海にはたくさんの船が気持ち良さそうに浮かんでいます。ここは「ビーナスの丘」。知る人ぞ知る絶景スポットです。美の女神の名前がついているだけのことはあります。
 近くに展望台でもないものかと振り返ると、コロニアル風のかわいらしいお宅があります。窓辺でおばあさんと男性がおしゃべりをしています。お話をうかがうと、2人は親子で、毎日この窓から美しい海を眺めているのだそうです。おばあさんはここに住んで65年になるとのこと。この家で12人の子どもを育て、ご主人をみとったそうです。船で漁に出かけたご主人が帰って来るのをこの窓から眺めていたのだとか。「船が帰って来るとうれしかったけど、そのあと取って来た魚をさばく仕事が大変だったわ」と、笑いながら教えてくれました。いいときも悪いときもあったけれど、長い間暮らして来たこの家に、たいへんな愛着があるのだそうです。
 美しい海を眺めながら、丘の上の小さな家で、半世紀以上も暮らしてきたおばあさん。ご家族のことを話す目は、優しさいっぱい。すてきな笑顔とお話をいただきました。

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