これまでの街歩き

魅惑の古都を行くⅡ
サンクトペテルブルク・ペトロフスキー島界わい/ ロシア

2012年9月11日(火) 初回放送

語り:八嶋智人

撮影時期:2012年7月

街の「ハートマーク」

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 アパートが並ぶペトロフスキー島の住宅街を歩いていると、路上に短いメッセージと大きなハートマークを発見。不思議に思いながら先に進んでいくと、また発見!今度は、路上一面に描かれたメッセージとハートマークです。アパートから出てきた女性に聞いてみると、それはこのアパートに住む恋人に向けて、彼氏が描いたメッセージなんだとか。サンクトペテルブルクの若者の間では、昔からこうした習慣があって、恋人の住むアパートの前に愛のメッセージを描いたり、好きな人に告白したりするんだそうです。相手の女性は、目が覚めてカーテンを開けると、びっくり!ってわけ。ちなみにこの日見つけたメッセージは、「許してくれ」「お前なしでは生きられない!」「愛してる!」と書いてありました。どうやら、彼女とけんかをした彼が謝りに来たみたい。窓からこれを見た彼女がどんな顔をしたのか、見てみたいですね。
 これを教えてくれた女性は、若いころドアにラブレターが差し込まれていたんですって。こちらもロマンチック。サンクトペテルブルクの人たちって、とっても情熱的なんですね。

街の「バーニャ」

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 街のメインストリートを歩いていると、目の前に現われたのがギリシャ神殿のような大きな建物。ドアには、枯れた葉っぱのようなものが刺さっています。中をのぞいてみようか迷っていると、入口の横で作業をしていたおじさんが、「ここはバーニャだよ」と教えてくれました。バーニャとはロシア式蒸し風呂のこと。サウナみたいなものかなあ、なんて考えていると、おじさんがちょっと強引に中を案内してくれました。「バーニャは老若男女いろんな人たちが通ってくる社交場。体を洗うのは二の次。みんな2時間くらい平気でおしゃべりを楽しんでいるんだ」と笑顔で話すおじさん。ついでに、ドアに刺さっていた葉っぱについても聞いてみると強引にお友達を連れ出して、蒸し風呂の入り方まで実演してくれました。「これはしらかばの葉っぱでまんべんなくたたくと疲れがとれるんだ」と言いながら、お友達の背中をバンバン勢いよくたたいているので、痛くないのかな…なんて思っていると、お友達は「いい気持ちだ!」だって。
 昔はたくさんあったバーニャも最近は少なくなってきて、この地区界わいで残っているのはこのバーニャだけ。みなさんもペトロフスキー島へ行った時は、バーニャを体験してみてはいかがですか?

街の「中庭」

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 ペトロフスキー島から橋を渡った、お隣のワシリエフスキー島。ここはもともとピョートル大帝がサンクトペテルブルクに遷都した際、政治経済の中心地にしようと整備した街。そのため、街は大小さまざまな通りが碁盤の目のように配置され、現在はその通りに整然とアパート群が並んでいます。縦横に伸びる通りをショートカットできる抜け道はないかと探しながら歩いていると、アパートの一角に小さな中庭を発見。のぞいてみると、中ではおばあちゃんと男性2人、そして小さな女の子が仲良くお庭の手入れをしていました。「この庭を造るのに5年もかかったのよ」とおばあちゃん。「庭に詳しいおばあちゃんに、僕たちはいつもこき使われてるんだ」と男性たち。とっても仲の良さそうな様子に、すてきな家族だな、なんて思っていると、実は同じアパートに住むご近所さん同士でした。おばあちゃんいわく、「人情深い」のが北側の島に住む人たちの特徴なんだって。その証拠に、一緒にいた女の子が生まれた時におばあちゃんがプレゼントした苗木を、みんなで大事に育てていました。街の北側に昔から暮らすサンクトペテルブルクの人たち、とってもあったかいですね。

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