これまでの街歩き

プラハ 旧市街からカレル橋へ/ チェコ

2013年10月1日(火) 初回放送

語り:松田洋治

撮影時期:2013年6月

街の「長い店」

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 旧市街広場から続く道の途中で、空に浮かぶ巨大な骨のオブジェを見つけました。これは近くのレストランが設置したもので、通行人の注目を集めるのが狙い。そして、このオブジェと同じくらい目を引くのが、お店の「長さ」です。間口は狭いのに奥行きは80mもあり、この区画の端から端までを占領しています。ここはもともと洗濯場として使われていた場所で、レストラン向きの間取りではないのですが、それがかえってお客さんに受けているのだそう。がらんとした空間にずらりとテーブルが並ぶ様子は、昔の素朴な食堂を思い出させる…というのがその理由。ちなみに人気料理は「豚の肺のクリームソースがけ」。やはりクラシックで郷愁を誘うチェコ料理が好評なんですね。

街の「シネマ・カフェ」

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 繁華街にある大きな建物をのぞいてみると、通路がずっと奥まで続いていました。両脇にはお店がぎっしりと並び、建物の中なのに、まるで路地を歩いているよう。パサージュと呼ばれるこうした通路はプラハの多くの建物に見られ、相互につながって不思議な空間を作り上げています。
 チェコの映画人が集まるというカフェは、「ルツェルナ宮殿」という建物のパサージュにありました。この店が映画人を引きつけるのは、プラハ最古の映画館に隣接しているから。開業はカフェより早く、1909年だそうです。映画館へはカフェを通って出入りできるので、鑑賞の余韻に浸りながら杯を傾ける…なんてことも可能。20世紀初頭のプラハは、本当に優雅だったんですね。

街の「ジョン・レノン」

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 カレル橋を渡り、プラハ城の足もとに広がる地区へ。路地の奥に驚くべき光景が広がっていました。大きな壁一面が、極彩色の絵と文字で埋め尽くされていたのです。実はこれ、落書きではありません。この場所に最初の絵が描かれたのは、1981年のこと。その絵とは、前年の12月8日にこの世を去ったジョン・レノンの肖像画でした。以後、彼の死を悼む人々が絵やメッセージを描き加えること30年以上…気づけば「レノンの壁」と呼ばれる特別な場所が出来上がっていたのです。
 近所に住み、壁の変遷を見てきたマルティンさんは言います。「共産主義時代のチェコの若者たちはレノンに勇気をもらっていたんだ。この場所で自由と平和を夢見ていたのさ」…。今では知る人ぞ知るプラハの名所です。

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