世界ふれあい街歩き

「荒野の街」を歩く

　広大な中央オーストラリアの荒野に、ほかの大都市から孤立するように発展したアリススプリングズ。歩き始めは、地元の人や観光客でにぎわう中心街です。買い物客が行き交うショッピングモールの前を歩いていると、人の出入りが多い建物を見つけました。建物の壁には10cmほどの小さな扉がたくさんついていて、皆さんそこから何かを取り出していきます。やって来たご家族にお話を伺うと、そこは郵便局で、小さな扉は私書箱だと言います。街外れには郵便配達がやって来ないため、街の外に住んでいる人たちはわざわざ郵便局までやってきて手紙を受け取るんだとか。そのご家族も週に3回、自宅から17kmの道のりを車で移動してきて、郵便物を受け取っていくのだそうです。
　街のカフェでくつろぐタクシーの運転手さんは、700kmも先の街までお客を乗せて行ったお話をしてくれました。幹線道路で出会ったラクダと旅する男性は、2か月半も歩き続けてやっとこの街にたどり着いたのだとか。いやはや、さすがオーストラリア。なんともスケールの大きなお話です。
　カラカラに干上がった川では、先住民アボリジニの一家が大自然の中での食事を楽しんでいました。住宅街を歩けば、大型バイクを何台も並べて手入れするおじさんや、荒野で拾って来た宝石を庭先で洗うのが趣味というおじいさんに出会います。極め付きは、裏庭で野生のワラビーやカンガルーが跳ね回るお宅を発見！ 軒下でビールを飲みながらのんびりと動物たちを眺めるのが最高のぜいたくなんだとか。中央オーストラリア、荒野の真ん中の街で、人生を楽しみながら明るく暮らす人々に出会う街歩きです。