2013年4月2日(火) 初回放送
語り:萩原聖人
撮影時期:2013年2月
最近、一部が開通したばかりの地下鉄に乗って、今回の街歩きを始めます。この地下鉄、工事が始まったのは20年も前。それなのに、いまだ全線開通していません。ナポリの地下には至る所にローマやギリシャ時代の遺跡があり、掘れば必ず歴史的価値のあるものが見つかるため、工事が進まないのだとか。地下鉄の駅はカラフルで派手。現代風のデザインで、まるでディスコのようです。
「大学駅」で電車を降りると、学生たちの多い街の中心地に到着します。ここで、大勢の聴衆を前に高らかに歌声を響かせるストリートミュージシャンと出会います。話を聞いてみると、「ナポリは美しい女性のよう。誰もがその魅力のとりこになってしまう」と、この街の素晴らしさを語ってくれました。
次に向かったのはナポリの下町・サニタ地区。この地域の暮らしには、人々の笑顔があふれています。片手でバイクを運転しながらコーヒーを配達する人、アパートの2階からお金を入れたバケツを下ろし通りかかった人に買い物を頼むおばあさん、6代続く伝統の味を家族で守り続けてきたピザ屋さん…。ビルの間の小さなサッカーグラウンドでは、未来のスター選手を夢見て練習する子どもたちに出会いました。「ここはサニタ地区の子どもたちにとって唯一の希望の場所なんだ」とコーチは言います。
夜になって、昼間出会ったストリートミュージシャンに再会します。南イタリアでは、結婚前夜に新郎がミュージシャンを雇い、新婦の家の前で愛の歌を歌ってもらう“セレナータ”という風習があり、そのために呼ばれたのだそうです。
街に住むみんなが一つの大きな家族のように関わり合って暮らす、ナポリの人々。ちょっとおせっかい焼きで人懐っこい、そんな人情があふれる人々とふれあう街歩きです。