これまでの街歩き

サルデーニャ島 カリアリ/ イタリア

2010年5月2日(日) 初回放送

語り:松田洋治

撮影時期:2010年3月

世界地図

地図

場所

イタリア半島の西に浮かぶサルデーニャ島。サルデーニャ島は、シチリア島に次いで地中海で2番目に大きな島です。この島は紀元前、ローマ人がやってくるずっと前から独自の文明を築いていました。現在でも先史時代のヌラーゲと呼ばれる独特の石造りの建造物が島のあちこちに残っていて、古代サルデーニャ人の生活の痕跡をかいま見ることができます。
島の玄関口であるカリアリの街も、紀元前7世紀に、当時海上交易で栄えていたフェニキア人の手によってつくられた長い歴史のある港町です。その後長らく外敵の侵入や支配にあったため、古代ローマの闘技場からピサの見張り塔まで、さまざまな時代のさまざまな様式が入り混じる独特の街並みがつくられていくことになりました。
気さくで飾らない下町の雰囲気と、いたるところに残る歴史的建造物が、魅力的なコントラストをかもし出しています。

Information

サン・ベネデット市場

カリアリの街の郊外にあるサン・ベネデット市場はイタリア最大の鮮魚売り場を誇る食品市場です。ここの鮮魚売り場には、日本のみなさんにもおなじみの食材がたくさんあります。ここではカリアリ流の食べ方をご紹介しましょう。
まずは、カラスミ(BOTTARGA)。カラスミは2000年以上の歴史を持つ食材で、サルデーニャの特産品でもあります。そのままスライスして食べてもいいのですが、この辺ではこれをすりおろしてパスタに使います。塩気がマイルドなので多めに使っても大丈夫。これはカリアリのレストランなら大抵どこでも食べられます。
次はウナギ。カリアリっ子もウナギが大好き。特に「ウナギのパナーダ(PANADA DI ANGUILLE)」はカリアリの伝統料理です。ぶつ切りのウナギをドライトマト、ジャガイモ、ニンニク、パセリと一緒にパイ生地で包んでオーブンで焼き上げます。ウナギはもちろん、ウナギのエキスを吸い込んだパイ生地も絶品です。ボリュームもあるので、ひとつで十分満足できるでしょう。もともと家庭料理のため、レストランではあまりお目にかかれませんが、街のパン屋さんで見つけることができます。当然ながら、ウナギがとれた日にしか売っていませんのでご注意。
●サン・ベネデット市場(Mercato di San Benedetto) 休み:日曜、月曜
住所:Via Tiziano/Via Cocco Ortu09128 Cagliari

円形劇場

カリアリには紀元前6世紀ごろからの遺跡がたくさんあります。街の中にいても、少し気をつければさまざまな歴史の面影を見つけることができます。街の北側にある屋外円形劇場では、夏になるとさまざまなイベントが行われます。実はこの円形劇場、もともとは1世紀から2世紀の間に建造されたローマ時代の円形闘技場の上に造られたもの。座席やステージの下には、かつて剣闘士たちが行き交った通路が縦横に延びています。
●円形闘技場(Anfiteatro Romano) 4月~10月は見学可。
住所:via sant'ignazio da laconi Cagliari

サルデーニャは大昔から優れた文明を持っていました。今でも島中で石造りの独特の建造物「ヌラーゲ」を見ることができます。これは4000年以上も昔に造られたもので、要塞(ようさい)であったとも住居であったとも言われますが、真相は謎に包まれています。サルデーニャ全土に7000あると言われるヌラーゲの中でも、カリアリ近郊にあるヌラーゲ・スゥ・ヌラージ(Nuraghe su Nuraxi)は1950年代まで地下に埋もれていたため保存状態が良く、訪れる観光客の数が一番多いヌラーゲです。1997年に世界遺産に登録されました。
●ヌラーゲ・スゥ・ヌラージ(Nuraghe su Nuraxi) 見学可
カリアリからバスで約1時間半

ラウネッダス

ラウネッダス(LAUNEDDAS)は、サルデーニャの伝統的な楽器です。この楽器は、島にはえる特別な葦(あし)を使って、演奏家みずからが作るもの。いちばん長い1本がベース音を出し、あとの2本がメロディーを奏でます。この3本を同時に演奏するのです。
この楽器を演奏する際の最大の特徴は、音がまったく途切れないということ。演奏家は、口で楽器を吹きながら、同時に鼻から息を吸う、ということができるのです。これは「循環呼吸」と呼ばれるテクニックで、古代エジプト時代から伝わるものです。ラウネッダスの演奏家は、この呼吸法を大切に受け継いでいるのです。
演奏家:マシア・オルランドさん エリゼオ・オルランドさん
番組中で演奏された曲:「PRUCESSIONI(宗教行列)」

※NHKサイトを離れます
ページトップ