これまでの街歩き

アルプスが見える街Ⅱ
アオスタ/ イタリア

2010年9月12日(日) 初回放送

語り:矢崎 滋

撮影時期:2010年6月

世界地図

地図

場所

モンブランやマッターホルンなど、ヨーロッパアルプスの4000m級の山々に囲まれたヴァッレ・ダオスタ州の州都、アオスタ。イタリアの北西端に位置しています。大サン・ベルナール峠を越えてスイスへ行く道と、小サン・ベルナール峠を越えてフランスへ抜ける道の分岐点として古代より重要視され、紀元前25年、初代ローマ皇帝アウグストゥスによって街が造られました。アウグストゥス凱旋門(がいせんもん)跡、城壁、ローマ劇場跡などは、保存状態がよく、いつも観光客でにぎわっています。
また、モンブランまでおよそ35kmと近いため、一年を通してアルピニストたちの拠点となっています。現在の人口はおよそ3万7000。公用語はイタリア語とフランス語。街では両方の言葉が飛び交い、道路標識なども両言語併用されています。

Information

ビンテージカーラリー

アオスタでは毎年、ビンテージカーラリーが開催されます。古いものでは1930年代の車など、およそ80台のビンテージカーがレースに参加します。1920年代に始まった伝統あるラリーで、コースは40km。アオスタの街をスタートし、イタリアとスイスの国境、大サン・ベルナール峠の頂上を目指します。
ここは、夏でも雪に覆われ、かつては遭難者が絶えない難所でした。紀元前218年、カルタゴのハンニバルはローマ軍と戦うため、象に乗って峠を越え進軍に成功しました。また19世紀、ナポレオンはイタリアを獲得するため4万のフランス軍を率いてアルプスを越えました。敵軍が想像もしていないアルプス越え。両者が通ったのが、この大サン・ベルナール峠だと言われています。
現在は整備され、壮大な風景を満喫しながら走れるぜいたくな峠道。ビンテージカーがアルプスをのんびりと走る様子は格好がいいけれど、ちょっとほほ笑みを誘います。

友情の杯

アオスタでは、食事の最後に「友情の杯」という器を使う習慣があります。たくさんの飲み口が付いた木製の容器です。中にはコーヒー、砂糖、かんきつ類の皮などに加えブドウの蒸留酒「グラッパ」というアルコール度数のたか~いお酒が入っています。
仲間のひとりが、ひとつの飲み口から飲んで、次の人へとわたします。次の人は隣の飲み口から飲み、また次へ。杯の種類はたくさんあって、友達の数にあわせて飲み口の数やサイズを選びます。中味がなくなるまで器を置いてはいけないという、なかなか厳しいルールもあります。強いお酒で体を温め、友達の輪で心を温める、アオスタの知恵から生まれた伝統なのです。

モンブラン・ロープウエー

アオスタの北西およそ35kmに、イタリアアルプスの山々を一望できるモンブラン・ロープウエーがあります。ロープウエーは激しい急こう配を上っていきます。所要時間わずか20分で、標高3500m、プンタ・エルブロンネル展望台まで上れます。
ここまで来ると気温は一気に下がり、眼前には大氷河とアルプスの壮大な景色が広がります。ヨーロッパ最高峰、4810mのモンブランが、手の届きそうなところに見えるほど。そのほかにも、グランド・ジョラス(4208m)やモン・モーディ(4468m)など、360度見渡す限り山また山…。風に流される霧や雲により、大パノラマは一瞬にして姿を変え、訪れた者をいつまでも楽しませてくれます。
プンタ・エルブロンネルからは、フランス側のロープウエーに乗り継いで、フランス・シャモニーまで行くこともできます。

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