これまでの街歩き

アルプスが見える街Ⅱ
アオスタ/ イタリア

2010年9月12日(日) 初回放送

語り:矢崎 滋

撮影時期:2010年6月

街の「凱旋門(がいせんもん)」

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町の東側、旧市街へ向かってのびる道を歩いていると、目の前に大きな石の門を発見。「アウグストゥス凱旋門」です。その前をたくさんの自転車が。レースが行われているんですね。
街の表玄関のひとつであるこの門を造ったのは、ローマ帝国の初代皇帝アウグストゥス。ローマとほかの西ヨーロッパをつなぐ主要交通路を築くため、この地域を制圧し、街づくりの一環として凱旋門を建設しました。皇帝の名を授かったその門は、石のブロックを積み上げて造られてるので、ずっしりと迫力があります。ちなみに、門の中央には十字架上のキリスト像が置かれていますが、これは中世にはめ込まれたものです。
凱旋門のまわりは、ぐるっと一周ロータリーになっていますが、ちょっとした広場もあって、アオスタっ子の憩いの場になっていました。

街の「フォンティーナチーズ」

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メインストリートを歩いていると、お店の前で仁王立ちしている男性に出会いました。ここはチーズ屋さんで、彼はその店員。名物フォンティーナチーズについて、教えてくれました。
「アオスタ州お墨付きの最高のチーズだよ」と誇らしげに見せてくれたこのチーズ、熱を加えて溶かすといっそうまろやかな味わいになるのだとか。店の前で工事をしていたおじさんも「オレも大好きだよ」と。ただ、おいしすぎてダイエット中の人には要注意なんだとか。
フォンティーナチーズの味は、健康な牛が肥よくな土地の草を食べることで生まれます。アルプスに育まれた新鮮なミルクが味の秘密です。1996年にDOP(原産地呼称保護制度)に認定されたため、アオスタで作られるチーズ以外をフォンティーナと呼ぶのは禁じられています。まさに、アオスタが誇るブランドチーズなのです。

街の「地下回廊」

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メインストリートから少し外れた細い路地をさまよっていると、広場に出ました。見れば、いたるところに大きな穴が掘られています。それらはなんと、すべてローマ遺跡の発掘作業の跡なのだそうです!
広場に面した家の住民に「ぼくの家の下はローマ遺跡だよ」と教えられて来たのが、地下回廊でした。中に入るとその広さに息を飲みます。アーチ型の天井と柱が、幻想的な雰囲気を作り出しています。古代ローマ時代、アオスタの人々は寒さや雪対策のために、地下回廊を造りました。当時のアオスタの建築技術はローマに次ぐレベルだったといわれ、アルプスのローマと呼ばれるほど生活水準が高かったそうです。
ローマ時代のアオスタを復元するため、街のいたるところで発掘作業が進められています。今度訪れた時は、さらに多くのローマ遺跡が見られそうです。

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