これまでの街歩き

モッポ/ 韓国

2010年11月28日(日) 初回放送

語り:矢崎 滋

撮影時期:2010年9月

世界地図

地図

場所

人口25万のモッポは韓国南西部、朝鮮半島の突端にある港町で、インチョン、プサンと並ぶ韓国三大港のひとつです。また、韓国高速鉄道(KTX)の終着駅があります。モッポの周りには無人島も入れるとおよそ二千もの島があり、干潟が発達しているため、海の幸に恵まれています。2010年10月には、韓国で初めての自動車レースF1がモッポ近郊で開催されました。

Information

ナクチ

海の幸が豊富な港町モッポ。ナクチはこの街の名物の1つです。ナクチはタコの一種(テナガダコ)ですが、韓国の人は「ナクチはタコじゃない」といいます。それというのも、ナクチの足のうち2本が長く、これを足ではなく手と見なすため、8本足のタコと区別しているのです。
地元っ子がいう、ナクチの一番おいしい食べ方が“サンナクチ”。“踊り食い”のことです。包丁は使わず、割りばしにナクチを巻きつけ、ごま油をつけて、そのままパクリ。口の中でナクチは暴れますが、これがまた醍醐味(だいごみ)なのだとか。
「ナクチはタコではありません。ナクチはナクチなんです」水産市場の人が何度も力説していました。

日本人が作った街

モッポの旧市街の小高い丘に建つ、レンガ造りの洋館。旧日本領事館です。1900年に建てられたこの建物の外壁には、かつての日本軍の印、旭日旗(きょくじつき)の模様があしらわれています。モッポには1910年の韓国併合以前から、日本人が多数移り住み、旧領事館を中心に日本人街がつくられました。天然の良港であったモッポは朝鮮半島から日本に米などの物資を送り出す重要な拠点だったからです。その貿易を独占していた商社、東洋拓殖のビルは今も、モッポの近代歴史館として使われています。ガイドのチョ・テヒョンさんは、歴史館に展示されている100年ほど前のモッポの写真を見つめ、「この街並みは日本の風景であるとともに、モッポに生まれ育ったわたしたちにとっても大事なふるさとの風景なのです」と語ってくれました。

カフェ

枝ぶりのいい松、灯ろうにちょうず鉢。そんな庭を持つ日本式の家屋を使って、3年前にオープンしたカフェがモッポの旧市街の真ん中にあります。カフェのマネージャーのキム・ヒョンチョルさんは「日本式家屋のいいところを生かしながら、西洋的な家具を配して、モダンでシックな店内を演出した」といいます。土壁や欄間はもちろん、韓国の家に比べて大きな窓を持つ日本式家屋の特徴を上手に使い、光を十二分に取り入れた明るいカフェはモッポの観光スポットのひとつになっています。
店の一番の悩みは傷んだ部分の補修。とくに屋根は、瓦の材質や形が特殊で、韓国内に修理できる職人がいないのだとか。「でも、この建物をわたしたちの大切な財産として守っていきたい」とキムさんは話してくれました。

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