これまでの街歩き

イタリアとっておきⅡ
シチリア島シラクーサ/ イタリア

2011年1月16日(日) 初回放送

語り:林 隆三

撮影時期:2010年11月

世界地図

地図

場所

地中海最大の島、シチリア島。その南東部に位置するのが、美しき古代都市、シラクーサです。2700年の歴史を誇るシラクーサでは、神殿や劇場、円形闘技場など、古代ギリシャ時代の遺跡と出会えます。
シラクーサは古代ギリシャの都市国家として、一時はアテネと並び称されるほどの繁栄を極めました。現在の人口はおよそ12万ですが、紀元前5世紀ごろは40万人以上が暮らしていたというから驚きです。古代ローマに征服された後も、ビザンチン、アラブなど、幾多の勢力の支配を経る中で、多様な文化を吸収し独特の雰囲気を持つ街となっていきました。街のいたるところで、古代ギリシャ遺跡やバロック建築など、それぞれの時代に築かれた美しい姿を残しています。加えて、温暖な気候と多彩な料理によって、北ヨーロッパの旅人たちの憧れの地として人気を集めています。

Information

ギリシャ遺跡

古代ギリシャの都市国家、シラクーサには、多くのギリシャ遺跡があります。中でも有名なのが、ギリシャ劇場。紀元前5世紀につくられた、幅138m、収容人数1万5千もの大規模な劇場で、しかもそれが一枚の岩をくりぬいて造成されたというから、当時の技術水準の高さに驚かされます。この劇場は今なお現役で、毎年夏には古代ギリシャ劇が上演され、世界中から観客が訪れます。
そして、劇場のそばにある「ディオニュシオスの耳」。高さ36mの湾曲した大きな洞くつで、小さな音も増幅され響き渡る構造になっています。もともと石切り場でしたが、紀元前5世紀末、君主ディオニュシオスがろう獄として使用し、捕虜の会話を盗み聞きしていた…という伝説から、「ディオニュシオスの耳」という名がつきました。この中で歌えば、その音色は格別です。

アルキメデス

古代ギリシャの偉大な数学者であり、物理学者、発明家でもあるアルキメデス。実はシラクーサ出身であることをご存じでしたか?紀元前3世紀、シラクーサで生まれたアルキメデスは、球体や円柱の面積や体積の計算式を発見するなど、数学者として功績を残す一方、らせん状の揚水ポンプなど実用的な道具も発明しました。当時のシラクーサはカルタゴやローマと戦争中。シラクーサのヒエロン王に助けを求められたアルキメデスは、鏡で太陽光線を集めて敵の船を燃やす武器なども考案しています。しかし、ローマ軍の勢いにはかなわず、シラクーサは陥落。アルキメデスもローマ兵に殺されてしまうのです。
シラクーサには、アルキメデスの発明を原寸大で再現した博物館があります。郷土の偉人を敬愛する数学教師、ヴィットリオさんの一家が手作りで完成させた博物館です。

名物料理アランチーニ

シラクーサを訪れたら、ぜひ食べてほしいのがアランチーニ。見た目はコロッケですが、実は「フライドおにぎり」。中にご飯がぎゅっと詰まっています。でも、ただのご飯ではありません。サフラン、バター、オリーブオイル、パルメザンチーズなどが入って、腹持ちは抜群!
シチリアに米やサフランが伝わったのは、地中海を挟んだアラブ世界から。具にも東西から伝わったバリエーション豊かな食材や香辛料が使われ、その組み合わせは100種類以上。ミートソースは円すい形、ハムとモッツァレラチーズは球体…など具によって形もいろいろです。
熱々のアランチーニを通して、シラクーサの多様な文化にふれてみてください。

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