これまでの街歩き

ティンプー/ ブータン

2011年2月20日(日) 初回放送

語り:中村梅雀

撮影時期:2010年10月

世界地図

地図

場所

ティンプーはブータン王国の首都。ブータン西部、ヒマラヤ山脈の南にある盆地の底に位置し、ティンプー・チュ(ティンプー川)の右岸に沿って細長く広がる街です。標高はおよそ2400m。かつては小さな村に過ぎなかったティンプーですが1961年に国王の命により遷都が実施され首都に。以来、急速に開発が進んでいます。現在の人口は10万。地方からの人々の流入で中心部の再開発や郊外の都市化が進行し、人口は増加の一途をたどっています。
また、空港や鉄道駅などはありませんが、道路で国内各地や南のインドと結ばれているほか、ブータン唯一の国際空港があるパロへも車で1時間ほどです。
街の北側にあるタシチョ・ゾンは、ティンプーで最も重要な建物。ここは国王の執務室のある王宮であるとともに、官公庁などの行政機関も置かれています。さらにブータン仏教界の総本山もこの中にあり、タシチョ・ゾンは文字通りブータンの政治と宗教の中枢といえます。

Information

ブータン王国

ブータンは、国王を元首とする立憲君主制の国家。百年以上続く王室は、ブータンの伝統に根ざした独自の政策を行っています。国造りの指針として掲げているのは、「GNH(Gross National Happiness:国民総幸福量)の向上」。人々の「幸福感」を最優先に考え、そのために伝統文化や環境を守ることを大切にした経済発展を目指しているのだそうです。
もう一つ、ブータンを象徴するのが民族衣装。学生や公務員は着用が義務づけられていますが、それ以外の人も日ごろから着ています。女性用の衣装「キラ」は、1枚の長い布を巻きつけたもの。男性用の衣装「ゴ」は、日本の着物に似ており、ひざ丈まで裾(すそ)をたくし上げ、お腹のところで帯を締めます。たくし上げた分、懐にかなりゆとりができます。実はこの懐が、何でも入る“スーパーポケット”になるのです。お財布、携帯電話、さらにはノートパソコンまで。ほんとに便利なんだそうです。

仏教

ブータンは仏教を国教としている国。でも、日本の仏教とは少し異なり、チベットやネパール、インド北部など信仰されているチベット仏教の一派です。チベット仏教では「輪廻(りんね)転生」が強く信じられています。人は亡くなっても魂は生き続け、成仏するまで何度も生まれ変わる…。
お祈りの形はさまざまですが、なかでも忘れてはいけないのが「マニ車」。時計周りに回すことで、お経を読んだのと同じ功徳が得られるというものでブータンの人々にとって、とても身近な存在です。そして、マニ車にもいろいろなタイプがあります。「金ピカのマニ車」や、便利な「携帯用マニ車」、水車を応用した「水力回転マニ車」など。さらに、最新の21世紀型ともいえるのが、太陽光エネルギーで回る「ソーラーマニ車」。安全運転を祈願して、みんな車のフロントにとりつけてるんですよ。

農村生活

ティンプーの市街地を一歩出れば、そこはもう静かな農村地帯。ブータンの国民の90%は農民なんです。農村の伝統的な民家は3階建て。1階は牛小屋。牛は主に乳牛で、搾った牛乳でチーズやヨーグルトなどの乳製品が作られます。2階は住まいですが、角部屋の一番明るい部屋は特別な部屋として使われています。それは「仏間」。どんな小さな家にも必ず仏壇があります。そして一番上の3階は、壁のない屋根裏。風通しがいいので、野菜や穀物を乾燥させるのにもってこいなんです。食事はごはんや野菜を基本とした質素なものですが日本でもなじみ深いものがあります。それは「おそば」。ところてんを絞り出すのと同じようなやり方で作ります。お湯でゆがいてから、炒(いた)めた卵やネギとからめれば、ブータン風おそば「プタ」の完成。ブータンに来たらぜひ、お試しあれ。

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