これまでの街歩き

ランパーン/ タイ

2012年2月16日(木) 初回放送

語り:中嶋朋子

撮影時期:2011年12月

世界地図

地図

場所

 ランパーンは、タイの首都バンコクから北へおよそ600km、第2の都市チェンマイから南へおよそ100kmに位置する地方都市です。人口はおよそ6万5000。7世紀ごろ、東南アジアのモン族が興したハリプンチャイ王国の都市として発展しました。その後、タイ北部のラーンナー王朝、ビルマ(現在のミャンマー)の王朝などの支配を受けたため、現在も建築や文化にその影響が残っています。
 街にはチーク材で建てられた寺院や家屋などの木造建築も数多く見られます。かつて、ランパーンはチーク材の一大生産地でした。19世紀、ビルマを支配していたイギリスの木材商人が職人を伴ってここを訪れ、豊富なチーク材を使ってビルマ風の建築物を建てたのです。そうした木材の輸送に街の中心を流れるワン川が利用され、バンコクと結ぶ鉄道が早期に敷かれて、街の発展につながりました。
 また、上質の陶土が採れることから、現在は陶器の製造も盛んです。県内には工場が200以上あり、周辺の国へ輸出されるなど地元経済を支えています。 製材や木材商で財をなした人々がしょく罪の意味をこめて寄進した大きな寺院が数多くあることでも有名で、タイ各地から寺院巡りに訪れる観光客でにぎわっています。

Information

鶏縁起

 ランパーンのシンボルは、鶏。街のあちこちで鶏のモニュメントを見かけます。また、公共の建物や施設には、市が設置したゴミ箱など至る所に鶏のマークがついています。なぜ、鶏がシンボルになったのか? 街には言い伝えが残っているそうです。昔、お釈迦様がランパーンを訪れることに。しかし、街の人たちは朝早く起きられるか心配でした。このとき、仏教徒を守る神様であるインドラ神が、白い鶏に姿を変えて街の人を起こしてくれたおかげで、無事お釈迦様を迎えられた、というのです。ランパーン県の県章はプラター・ランパーン・ルアン寺の門の下に鶏が立っているデザインです。
 ランパーンには、鶏にちなんだ名物もあります。それは、黒い鶏が描かれた丼(どんぶり)。ランパーンで採れる良質の陶土に目をつけた中国人がはやらせたと言われています。今では外国にも輸出されている、ランパーンで人気ナンバー1の名産品です。

ゾウ保護センター

 昔、タイには10万頭のゾウが暮らしていました。その多くは人間に飼育され、木材の運搬作業など、労働力として、国の発展を支えてきました。しかし、重機が発達すると、次第にゾウの役割は失われ、今ではおよそ5000頭にまで減少してしまいました。ランパーンにあるゾウ保護センターでは、行き場をなくしたゾウたちを保護し、研究やゾウ使いの技術伝承などの保護活動を行っています。さらに、医療施設や、親を亡くした子ゾウのための保育園なども運営。ゾウたちとふれ合える観光スポットとしても有名で、啓もう活動を兼ねたゾウのパフォーマンスショーが人気です。重い木材を軽々運んで積み上げたり、長い鼻を巧みに操り、見事な風景画を描いて見せたり…。しっかり訓練されたゾウの賢さには、感動すること間違いなし!ショーの収益は保護活動に利用されています。

温泉

 1年を通して気温が高いタイですが、温泉はポピュラーな文化として知られ、国内には100以上の源泉があると言われています。ランパーンから68km、ワン川の上流にあるジェーソン国立公園は、温泉で有名な行楽スポットです。源泉の温度は摂氏82度。硫黄、リチウム、マグネシウム、マンガンなどが豊富に含まれています。昔からの湯治場で、皮膚病、切り傷、糖尿病、高血圧、関節痛などの治療に効能があるそうです。ちなみに、入浴の際にはTシャツ・短パンなどの服を着て入るのがタイ流です。女性は体に巻き付ける布「パレオ」を着用するのも一般的。
 もう一つ、タイの温泉のポピュラーな利用法が「温泉卵」。やけどをしないように、卵を竹かごに入れて湯につけること、およそ17分。トロトロ温泉卵の出来上がりです!熱いお湯に入るのは苦手でも温泉卵が目当てで通う人も多いのだとか。タイで温泉巡りというのも一興かもしれません。

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