これまでの街歩き

ランパーン/ タイ

2012年2月16日(木) 初回放送

語り:中嶋朋子

撮影時期:2011年12月

街の「花馬車」

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 駅を出てほどなく、大通りで客待ちをする馬車に出会いました。ランパーンでは、彩り豊かな花飾りを施した小型の馬車をよく見かけます。観光客が街を巡る際の足となってくれる花馬車が、バンコクからランパーンにもたらされたのは1910年のことです。「ランパーンはタイ北部の玄関口なんだ」と、御者の一人がいいます。当時、ランパーンにはタイ北部の中でもいち早く交通手段が整備され、鉄道とともに馬車も持ち込まれたのだそうです。自動車の発達に伴って他の街で馬車が消えていく中、ランパーンでは馬車が文化として守られてきました。現在、タイで馬車が走っているのはランパーンだけ。「馬車に乗らなければランバーンに来たことにはならない」とまで言われています。御者のお二人の表情からは、街の顔ともいうべき馬車に対する誇りが感じられました。

街の「出家式」

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 通りがかった寺院の奥から、ずいぶん陽気な音楽が聞こえてきました。敷地に入っていくと、曲に合わせて練り歩く老若男女の大行列に遭遇!その中の女性に声をかけると、なんと彼女の恋人の「出家式」なのだと言います。
 タイでは、仏教徒の男性にとって出家は最大の功徳だそうで、ほとんどの男性は一生に一度以上は出家を経験します。この行進のとき、まだこれから出家する男性たちは黄色い僧衣ではなく、白いガウンを着るのだそうです。
 出家式には親類縁者や隣近所の人たちが集まって祝います。でも、恋人と離れ離れになるのは辛いのでは?そう思って行列の彼女に尋ねると「10日間だけ出家するのよ」と、にっこり。なんでも、出家する期間は人によってさまざまで、還俗して一般の生活に戻ることができるそうです。また、結婚前に出家を行うケースも多いとのこと。もしかしたら、お二人が結ばれる日も近いのかもしれません。

街の「マッサージ屋さん」

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 コンコンコン…。商店街の小さなお店から、軽快なリズムが聞こえてきます。のぞいてみてびっくり!苦悶(くもん)の表情を浮かべるお坊さんと、その腕にくいを立て、木づちで打ち込む仙人のような男性の姿が。実はこれ、タイ北部のごく一部の家で伝承されてきた独特のマッサージ。張っている筋をたたくことで、早く緊張がほぐれるんだとか。
 感心していると、マッサージ屋さんは、さらに巨大な木製の器具を持ち出して、お坊さんの背中を押し始めました。てこの原理を利用して、軽く押すだけで強く圧力をかけられるという仕組み。この道具はマッサージ屋さんがご両親から受け継いだ独自のもので、手作りしているんだそうです。一見とても痛そうですが、体に当たる木の面が広いので、実は見た目ほど痛くはないとのこと。お坊さんの表情に目をやると…、なるほど、いつのまにか、とっても気持ちよさそうに和らいでいました。

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