これまでの街歩き

グラーツ/ オーストリア

2015年9月15日(火) 初回放送

語り:小倉久寛

撮影時期:2015年6月

世界地図

地図

場所

 首都ウィーンの南西150キロに位置する、オーストリア第2の都市、グラーツ。人口は約26万です。かつてはハプスブルク帝国の東の最前線にあり、拡大するオスマン帝国に対する防衛を担っていました。
 イタリアにも近く、人々は陽気。街の中心にはムーア川が流れ、東が歴史地区、西が再開発地区。二つの地区をいくつもの橋や人工の島・ムーア島が結んでいます。歴史地区の中心の広場には、市民に愛されるハプスブルク家のヨハン大公の像が立っています。
 中央広場から南に続くのが最も華やかなメインストリートで、ルネサンス様式の傑作と呼ばれる州庁舎や、バロック様式の教会、21世紀までのさまざまな建築様式が立ち並びます。また郊外では農業が盛んで、産地直送の青物市場はグラーツの名物です。

Information

グラーツの歴史

 グラーツの街はヨーロッパに一大帝国を築いたハプスブルク家によって発展しました。16世紀、オスマン帝国の脅威に備えて、ハプスブルク家はグラーツの丘の上に堅固なとりでを築きます。グラーツにあるヨーロッパ最大の武器庫には、当時のよろいや刀などの武具が3万点残されています。盤石な備えのおかげでオスマン帝国がグラーツに攻め入ることはなく、のちに要塞は取り壊されましたが、当時造られた時計台は今も街のシンボルとなっています。
 最先端の城塞都市の計画のために集められたのは、イタリアの優秀な建築家たち。おかげで多くのルネサンス建築が街に残され、そののちも競って豪華な建物を建てていきました。優美なアーチが特徴のルネサンス様式の州庁舎、複雑な17世紀のバロック様式。時代時代の建物が大切に守り継がれています。20世紀末には突出した現代建築まで建てられるようになり、グラーツは「建築の宝箱」とたたえられるのです。

食べ歩きグルメ

街歩きしながら手軽に楽しめるご当地の味を、厳選してご紹介!

 グラーツのあるシュタイヤーマルク州は「オーストラリアの台所」と呼ばれるほどの、食材の宝庫。
 あれもこれも好きなトーマスさんと、あねご肌のステファニーさんが、グラーツの特産品を使ったヘルシーフードを紹介してくれました。

パンプキン・シード・オイル・サラダ

ズバリ「かぼちゃの種油サラダ」。ペポカボチャの種を原料にしたグラーツの特産品で「黒い黄金」とも呼ばれています。香ばしい味と香りは隠し味に最適で、サラダにもよし、パスタに垂らしてもよし、通の人ならアイスクリームに2、3滴。ビタミンEや必須脂肪酸などの美容成分もたっぷり、健康指向の人々の間でも注目されています。

オープンサンド

"種類も豊富なオープンサンド。スライスした焼きたてパンの上に、ローストビーフだったり、スモークサーモンだったり…。ディスプレイに色鮮やかに並ぶ様は、さながら宝石箱の美しさ。オススメはボルシチでおなじみの赤ビーツのせ。グラーツの野菜はしっかりした土で育っているから特においしい!西洋わさびと万能ネギをトッピングして召し上がれ。

マリレン・パイ

マリレンは、グラーツの名産、アプリコットのこと。ハプスブルク家が繁栄を極めた時代、たくさんの種類のパンが考案されましたが、これもそのひとつ。甘く煮詰めたマリレン・ジャムが、パイ生地をはみ出るくらいにたっぷり。ああ、甘酸っぱい。

ちょっとより道

街からちょっと足をのばして、イチ押しの観光スポットを訪ねます!

白馬の故郷 ピーバー
語り:篠原ともえ

 グラーツからローカル列車に揺られること40キロ。ハプスブルク家ゆかりの名馬を育てているというピーバー牧場を目指します。
 名馬というのは「リピツァーナ」という特別な品種。ピーバーで育ち、大きくなると、ウィーンの王宮で華麗な古典馬術を披露します。列車に乗り合わせた子どもたちは見たことあるよ、真っ白なんだよ、と自慢していました。最寄り駅のケープラッハからのどかな田園風景の中、ピーバー牧場へ…。
 着くと、いました!リピツァーナ馬。ステップが軽やか!…でもなんだか灰色っぽい。さらに子馬を見ると…なんと額が白いだけで、全身真っ黒です!えー、これ、ほんとにリピツァーナの子馬?と思って飼育員さんに聞くと、生まれたときは黒や茶色で、5年から10年かけて真っ白になるんだとか。よく見るとなるほど、真っ黒な子馬の顔にも、少しだけ白い毛も生え始めていました。
 選び抜かれたオスの子馬は、真っ白になるころにウィーンへ旅立ち、古典馬術の訓練を受けて王宮でデビュー、喝采を浴びるのです。

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