これまでの街歩き

グラーツ/ オーストリア

2015年9月15日(火) 初回放送

語り:小倉久寛

撮影時期:2015年6月

街の「ヨハン大公」

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 街の中央広場にやって来ると噴水の真ん中に立派な銅像が。いい雰囲気の男女に尋ねてみると「ハプスブルク家のヨハン大公さ」と教えてくれました。ヨハン大公は王位継承権を捨てて平民のアンナと愛を貫き結婚したことで、今も街の人々に親しまれている存在なんだとか。病院を作ったり、建築科のあるグラーツ工科大学を創設したり、偉大な改革者としても名を残しているそうです。
 アンナの方は料理上手で「アンナのレシピ本」が今も人気なんですって。お節介を承知で、捨て身の愛ってどう思う?と聞くと「愛しているなら当然ですよ」だって。でもお二人の仲を伺うと「いい友達だよ」とむきになって否定されてしまいました。恋人たちも待ち合わせる憩いの場で、ヨハン大公はきょうも街を見守っています。

街の「クンストハウス」

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 ムーア川を渡って、旧市街の対岸にやってきました。赤いレンガ屋根の家並みの間に、丸くって黒光りする物体が!しかも、なんだか大きいぞ!
 通りがかりのご夫婦に聞くと、斬新な建築の正体は「クンストハウス」という美術館。2003年グラーツが欧州文化首都に指定されたのを機に建てられました。「時計台の方が好きだわ」とご夫婦、一度見たら忘れそうにない個性的な外観に賛否があるのも無理からぬこと。とはいえ、グラーツの新しいランドマークとして「フレンドリー・エイリアン」の愛称で親しまれ、世界中からの旅人を魅了します。
 文化施設の少なかった周辺のエリアはクンストハウスの建設を機に再開発され、今では若者やアーティストでにぎわうクールなスポットになっています。

街の「進化しすぎた教会」

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 クンストハウスを通り越し街のはずれにやってくると、カラフルな文字がポップに描かれた建物を発見。中庭にいる人たちに聞けば、ここは現役の教会でみなさんは教会に集う移民仲閒なんだとか。
 「誰でも歓迎ですよ」と教会の中を案内してもらうと、もともとバロック様式だったという礼拝堂には、ペンキをぶちまけたようなオレンジ色のペインティングが…。なんでも神の力強さを表現したのだそうです。ステンドグラスにはセネガルの女性の肖像。
 移民のみなさんに慕われている神父さんは「建築様式は特筆すべきですが、大事なのは人がいきいきすることです」と、熱く語ってくださいました。一見風変わりな教会には、神父さんの「開かれた教会」への思いがあふれているんですね。

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