これまでの街歩き

シルクロードの響き
敦煌/ 中国

2016年11月22日(火) 初回放送

語り:田畑智子

撮影時期:2016年9~10月

世界地図

地図

場所

 敦煌は中国甘粛省の北西部にある砂漠に囲まれたオアシス都市です。かつてのシルクロードの要衝であり、世界遺産、莫高窟が郊外にあることでもでもよく知られています。漢代には西域に対する最前線の軍事拠点として、重要な役割を担っていました。「沙州古城」というその頃の城壁跡が、街の中に今でも残っています。また街の周辺には、陽関、玉門関などシルクロードの関所跡が保存され、観光名所として人気を集めています。
 人口は約14万。観光業と農業に従事する人が多く暮らしています。オアシスだけあってニレやポプラなど街路樹が多く、緑の美しい街です。近年では、川辺の公園が整備され市民の憩いの場として愛されているほか、市内では徹底した清掃計画が実施されていて、ゴミ1つ落ちていない手入れの行き届いた気持ちのいい街となっています。

Information

ブドウからみる敦煌の歴史

 東西交易の要衝として栄えた敦煌。仏教伝来の歴史や東西の文物が行き来した証を、いまも莫高窟の壁画に見ることが出来ます。壁画にはブドウも描かれています。西域の果物は、当時豊かさの象徴だったのです。
 ブドウは紀元前2世紀、漢の武帝が西域に送った使節によって持ち込まれました。そのとき伝えられた「無核白」という白ブドウは、いまも敦煌の周りで盛んに栽培されています。収穫時期は9~10月。水分が多く糖度が高い上、種がなくて食べやすいので人気の高い品種です。
 畑のそばの砂漠には、干しブドウを作るための「涼房」という日干し煉瓦の小屋が並んでいます。1か月間、砂漠の熱風にあてることで、干しブドウになるのです。干しブドウは街の市場やスーパーなどあちこちで売られています。

食べ歩きグルメ

街歩きしながら手軽に楽しめるご当地の味を、厳選してご紹介!

 今回案内してくれるのは、食いしん坊のタクシードライバー、張義さん。
 以前は食堂で料理人をしていたというだけあって、敦煌中の店を知り尽くしています。そんな彼が、さまざまな種類がある麺料理のメニューベスト3を紹介してくれました。

ロバ肉黄麺

敦煌の街中で見かける「驢馬肉黄麺」の看板。街一番の人気メニューです。小麦粉に砂漠でとれる植物の粉を混ぜて麺を打つことで、歯ごたえのしっかりした黄色い麺になるそうです。硬めにゆでた麺に、豆腐としいたけを細かく切り、ロバのだしで作ったスープをかけていただきます。一緒に食べるロバ肉はネギ、ショウガ、サンショウ、八角などを入れ4時間煮込んだ柔らかいもの。薄くスライスしてあり、舌がとろける美味しさです。

ゆ面魚魚(ゆめんゆゆ)

カラスムギの一種、燕麦(えんばく)の粉で作った小魚のような形の麺。麺は蒸してからキャベツ酢漬け、トマト、豚のひき肉などと一緒に炒めます。酢と醤油、塩とラー油などで味付けしてあります。麺はビタミンやミネラル、食物繊維が豊富で、北京でも健康食として人気があるのだとか。ダイエットに最適なんだそうです。

羊肉焖餅(ようにくめんぴん)

紙のように薄い麺に、羊のだしがたっぷりしみた一品(ひとしな)です。ネギやショウガと共に煮込んだ羊のスープに、よく練った小麦粉を厚さ1ミリに延ばした麺を蓋(ふた)のようにかぶせます。スープは唐辛子やサンショウも入っているピリ辛味。4分煮たら、食べやすい大きさに切って羊のスープをかけていただきます。

ちょっとより道

街からちょっと足をのばして、イチ押しの観光スポットを訪ねます!

砂漠を体験!鳴沙山(めいさざん)
語り:つぶやきシロー

 鳴沙山は敦煌中心部から車で南へ30分。東西40キロ、南北50キロに渡る広大な砂漠です。入り口前にはスカーフ、サングラスや帽子を売る店が並んでいます。オレンジ色の膝まで隠れる砂除けの靴カバーも入口でレンタルしていて、多くの人が重装備で出かけます。
 入り口付近では、多くのラクダが待機中。ラクダに乗って40分、山の中腹までめぐります。青空と砂の色のコントラストが鮮やかで、映画に出て来るような景色を堪能できます。遠くまで見渡せる場所では、ラクダ使いの青年が砂漠で眺める朝日の美しさを語ってくれました。
 もう1つ体験したのは、砂すべり。竹製そりで砂山を滑りおりるのですが、思ったほどスピードは出ず、途中で止まってしまうこともしばしば。体のバランスを取るのが難しく、スリルを味わおうと何度も挑戦する人が沢山いました。かつて隊商が行き交った砂漠が、今は大きな砂遊び場のよう。大人も子供も時間を忘れて楽しめる場所です。

※NHKサイトを離れます
ページトップ