これまでの街歩き

パリ・モンマルトル/ フランス

2005年11月29日(火) 初回放送

語り:柳家花緑

撮影時期:2005年10月

街の「下町商店街」

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地下鉄ブランシュ駅からクリシー大通りの緩やかな坂を上っていくと、右手に赤いひさしのカフェを発見。1910年頃に開店した歴史ある店です。オープンテラスのテーブルには見事な女性の絵、ひかれて中に入ってみると、ぶどうをモチーフにした小さなシャンデリア風の照明。そして壁には開店当時から残っているフラスコ画がありました。芸術の丘、モンマルトルの街歩きの始まりです。
坂を上ってゆくと、今度はお肉屋さんを発見。おいしそうな匂いがするのか、一匹のワンちゃんが店の前から離れません。お腹が空いているんでしょうか?ワンワンと吠え…。あれ?ワンちゃんの口が動いていない。それじゃこのなき声はどこから…?

街の「彫像」

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モンマルトルの人気観光スポット「テアトル広場」から歩いていくと、むこうに人だかり。集まる人々の視線の先を見ると、そこには大きな壁があります。あれ?この壁ちょっと変です。石造りの壁の真ん中から男の半身像が飛び出してる。今にも壁から抜け出しそうな様子です。集まっている人たちの話を聞くと、これモンマルトルの作家マルセル・エメの小説『壁抜け男』を元にした彫像とのこと。俳優や彫刻家など多彩な顔を持つジャン・マレが1982年に作ったそうです。街の人たちはその奇妙な物語を教えてくれました。壁を抜ける能力を使って、パリ中を騒がせる大泥棒になった男が一人の人妻に恋をして、壁を抜けて人妻の元に通っていた。ところがある日、壁抜けが出来なくなる薬を間違って飲んでしまったために壁抜け男は、壁の中に閉じ込められてしまったとか。この奇妙なお話を再現した像は、モンマルトルでも一際目立つ人気スポットになっています。

街の「ぶどう畑」

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かつてパリには、たくさんのワイン用のぶどう畑がありました。今はたった1つだけ残されているぶどう畑がモンマルトルにあります。このぶどう畑が残された経緯には芸術家の丘ならではのエピソードがあります。昔、モンマルトルの丘が貧しく、治安の悪い街だった時代がありました。そんな中、子供たちが安心して遊べる場所をモンマルトルに作ろうと芸術家たちが立ち上がります。番組でも紹介する画家プールボを中心に、丘に残った空き地を子供たちが安心して遊べる公園にと考えました。市に訴えても相手にされないため、芸術家たちは空き地に勝手に1900本ぶどうの木を植え、モンマルトルの丘にブドウ畑が広がっていたころののどかな風景を取り戻す活動を始めます。こうしてよみがえったぶどう畑は、今では市の管理のもとで手入れされ、ワインも作られています。ここでわずかに作られるモンマルトルのワインは芸術家たちの熱い思いを味わえる貴重なワインなのです。

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