これまでの街歩き

ローマ「スペイン広場から南へ」/ イタリア

2006年4月25日(火) 初回放送

語り:桂 文珍

撮影時期:2006年3月

街の「城壁」

Photo

ローマの街をぐるりと囲む城壁。古代ローマ時代のもので紀元3世紀に造られました。1700年経った今でも堂々として見事な貫禄…と感心していると、前から来る女性が城壁の中に入ろうとしています。いやいや壁に入れるわけがないと思ったのですが壁には緑色の扉がついていて玄関みたい…。お話を伺うと、扉を開けて招き入れてくれました。中には所々に古代ローマ時代の名残が…。昔はここで守備隊が街を守っていたんだとか。
女性についていくと、陶芸をやっている方々が。女性の曽祖父が、100年ほど前に、城壁の一部の空間を利用して陶芸教室を始めたのだそうです。
明るく広い場所で、陶芸教室の生徒さんたちが真剣に、時に他愛もないおしゃべりをしながら陶芸を習っています。皆さん、本当に楽しそうでした。1700年の歴史的な建物の中で陶芸教室なんて、なんとも贅沢。ローマならでは、ですね。

街の「芸術家 part1」

Photo

スペイン広場近くのギャラリーなどが並ぶ地区。
大理石に言葉を彫る職人さんと出会いました。近所の仲間とお昼ごはんの真っ最中。ワインも開けています。天井や壁から吊り下げられた大理石の板について聞くと、子どもの頃、庭で見つけた釘で石に文字を刻む遊びを始めて、それが一生の仕事になったのだとか。今年78歳だそうです。「仕事ではなく、趣味みたいなもの。楽しいよ。いい人生だったね。」と語ってくれました。
ついつい長居をしてしまった別れ際、ひとつ何か彫ってくれることになりました。
プレゼントしてくれた言葉は、「ROMA=AMOR」(「ローマ」を逆さに読むと「愛」という意味になる)でした。

街の「芸術家 part2」

Photo

ローマの下町トラステベレ地区。昔ながらの道や広場のたたずまいが残る界隈(かいわい)です。
目の前に不思議な光景が!アパートの窓から人形やぬいぐるみなどがたくさん吊り下げられています。近所のご婦人の話では、芸術家の方の家なんだとか。いつも路地の先にいると教えてくれました。行ってみると、黄色いミモザの花を持って路地のベンチに腰かけた人が「おいでおいで」という動作をしています。ちょっぴり風変わりな感じのその男性。もしかして、この男性が?!彼はいきなり「デッサンをしましょう」と壁に紙を貼って“聖なるマドンナ”の絵を描き始めました。それがとても上手。ちなみに窓に吊るした人形は彼を守る妖精なんだそうです。家にも招待してくれて、今度は彼の水彩画を見せてくれました。ベネチアやローマのテベレ川などの絵です。その中にはデンマークの絵もあって、亡くなった彼の妻のふるさとなんだそうです。「妻は絵の中に住んでいるんだよ」と言っていました。やさしい色づかいの素敵な絵でした。

※NHKサイトを離れます
ページトップ