これまでの街歩き

ジロカストラ/ アルバニア

2011年12月15日(木) 初回放送

語り:小倉久寛

撮影時期:2011年9月

街の「ブレック屋さん」

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 街の中心部にある商店街で、薄暗い建物に入って行く若者たちを見かけました。ついて行ってみるとそこはジロカストラの伝統食「ブレック」のお店。ブレックとはパイのようなスナックで、中にチーズやほうれん草を入れて窯で焼くんだそう。ご夫婦でやっているこのお店では、奥さんが生地を練り、ご主人が大きな窯で焼き上げていました。
 窯の中をのぞいてみると、ブレックだけでなく、なんと子羊も丸ごと焼かれていました。これは売り物ではなくお客さんに頼まれて調理しているもので、結婚式や大きなパーティーがあるとみんなここに肉を焼きに来て、それをパーティーの目玉料理にするんだそうです。日常でもハレの日でも、街の人の胃袋を支え続けるやさしいご夫婦のお店でした。

街の「新築の伝統家屋」

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 住宅街の坂道を上っていくと、ずいぶん立派なジロカストラ風伝統家屋を発見しました。でも、どうみても新築です。庭先にいたご夫婦に話を聞いてみると、この家はなんとご主人自ら建てたのだとか。ずっと機械工だったご主人が、息子さんに頼まれ、一念発起して造り上げあげたんだそう。
 実際にどうやって石を削り出すのか見せてもらいました。表面を削った後は、ノミと金づちを使って少しずつ手作業で彫っていく作業。家の大きさを考えると気の遠くなるような作業です。小さなお孫さんを抱いてうれしそうに話してくれたご主人。この赤ちゃんもいずれはここの主になるのでしょうか。伝統文化が脈々と受け継がれていくことを感じさせてくれる家族でした。

街の「ウサギおじさん」

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 夕方、西側の住宅街で木に登って葉っぱを摘んでいるおじさんを見つけました。降りてきたその人におそるおそる付いて行ってみると、そこにいたのはウサギ。摘んでいた葉っぱはウサギの餌だったんです。趣味でウサギを飼っているというおじさん、なんと7歳のときから50年以上も飼い続けているんだそうです。おじさんは、元気でかわいいウサギを育てるのが生きがいなんだとか。飼っているウサギにはすべて名前をつけていて、そのうちの一羽のメスはスザンナちゃんという、なんともかわいい名前。
 おじさんによると、ジロカストラは山の街なので動物との関わりが昔から深いんだそう。家畜としてだけではなく、移動手段に利用したり、おじさんのようにペットとして飼っている人もたくさんいるんだそうです。お別れのときは、おじさんとスザンナちゃんが玄関先まで出て見送ってくれました。

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