これまでの街歩き

コトル/ モンテネグロ

2011年12月22日(木) 初回放送

語り:余 貴美子

撮影時期:2011年9月

街の「海の土産物屋さん」

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 小さな灯台の置物や、パイプをくわえた船長さんの人形など、海にまつわる物を店先にずらりと並べた土産物屋さんを発見。お店のお兄さんによると、昔から船乗りの街だったコトルのことを、観光客にも身近に感じてもらいたくて、これらを並べているんだそうです。
 お兄さんと話していると、店のすぐそばに大きなソファーが運ばれて来ました。コトルの建物は階段の幅が狭いため、大きな荷物は窓から入れるのが一般的。このソファーもロープで引き上げ、3階の窓から部屋に入れるようです。住民みんなの協力でやっと3階の高さまで到達したソファーですが、窓が小さすぎてなかなか入りません。どうやらサイズの計算を間違えていたみたい。結局、窓から入れるのはあきらめ、引越し業者の人たちはソファーを持ち帰ってしまいました。
 車も入れず不便なことが多いコトルの旧市街ですが、お兄さんは、ここには何物にも代え難い魅力があるといいます。それは、住んでいる人みんなが知り合いで、街全体があたたかい雰囲気に包まれていること。「だから都会につきもののストレスを感じることもないんだ」と、穏やかに笑っていました。

街の「おしゃれな物知りおじさん」

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 路地の一角で、若い女の子と楽しそうに鳩にエサをやっているおしゃれなおじさんを見つけました。大きなサングラスがよく似合っています。鳩はずいぶんおじさんに慣れている様子で、その手に乗ってしまうほど。それもそのはず、おじさんはすぐそばの建物に住んでいて、いつも鳩にエサをやっているんだそうです。
 おじさんに、その建物に付いているドクロの紋章について聞いてみました。おじさんによると、ドクロは死や病気を表し、昔から薬局のシンボルマークなんだとか。さらに、この建物はバルカン半島で2番目に古い薬局だったことを教えてくれました。その博識ぶりに感心すると、「自分の街の歴史を知らないと恥ずかしいだろ」だって。おじさん、どこまでもかっこいい!
 おじさんがこの場所に毎日座っているのには、理由がありました。それは、通りを行く美しい若い女性を見ること。なんでも、美しいものを見るとさまざまなインスピレーションが湧いてくるんだそうです。

街の「新婚ホヤホヤ夫婦」

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 路地を歩いていたら、2軒の建物の2階部分をつなぐように架かっている小さな橋を発見。橋の上にいた女性に聞くと、旧市街で橋が架かっているのはこの通りだけだとか。誘われるままにお宅にお邪魔してみると、改装工事の真っ最中。なんでも彼女、3か月前に結婚したばかりの新婚ホヤホヤで、古いアパートをリフォームして新居にしようとしているんだそうです。
 奥の部屋では、ご主人が釘を口にくわえて懸命に作業中。ご主人いわく、「この改装工事はすべて妻への愛のため」なんだとか。それを聞いた奥さん、本当にうれしそうでした。
 奥さんはコトルの外からお嫁に来た人だといいます。よそ者の自分を優しく受け止めてくれたコトルの街とご主人に、深く感謝しているんだそうです。
 ご主人は、「昔から旅人が行き交ってきた港町だからこそ、コトルには街を愛するすべての人を受け入れる心がある」といいます。
 最後にお二人のさりげないキスまで見せつけられて、なんだかこっちまで幸せな気持ちにさせられる出会いでした。

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